◆手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)可決・成立報告会
2025年6月19日(木)衆議院第一議員会館 多目的ホールにおいて「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)可決・成立報告会」に手話言語法制定推進運動本部委員として参加しました。
手話関係団体からは41名が参加し、全通研からは8支部から8名が参加しました。来賓、スタッフ含め総勢60名ほどの参加があっての報告会でした。


【直近の経過】
6月13日(金) 午前10:00頃 参議院内閣委員会において「手話施策推進法」審議
6月13日(金) 午前11:20頃 参議院本会議を可決
6月13日(金) 午後13:30頃 衆議院内閣委員会において「手話施策推進法」審議
6月18日(水) 午後13:30頃 衆議院本会議開催
6月18日(水) 午後5:30分頃 衆議院本会議において可決、成立
6月19日(木) 午後5:00~ 「手話に関する施策の推進に関する法律 可決・成立報告会」
※衆議院本会議は予定では6月17日(火)だったが政局の都合により18日へ移動
※6月13日(金)、18日(水) 全通研より渡辺会長出席
※6月19日(木) 全通研より間舩理事出席
報告会では、司会を全日本ろうあ連盟副理事長 河原雅浩氏が務めました。まず初めに来賓あいさつとして下記の方々から挨拶をいただきました。
それぞれの挨拶内容については概略ではありますが、以下の挨拶がなされました。

障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 会長 衛藤晟一氏
自民党では基本的考えとして「手をつないで一緒に暮らせる社会を作る」と掲げている。今期で勇退する最後の仕事として、法実現ができ感無量。

公益財団法人日本財団 理事長 尾形武寿氏
法令を作るということは心がこもるもので進めていかなければならない。仏を作っても魂を入れなければ仏にならない。形骸化させることなく施策をより進展させるため真剣に取り組む必要。

全国手話言語市区長会 事務局長 埼玉県富士見市長 星野光弘氏
長年の夢が実現できてうれしい。このうれしいという気持ちは苦労したから感じられる。情熱のかたまり、新たな出発、手話を広める知事の会と共に取り組む。
障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 幹事長 山本博司氏
衛藤会長と同じく今期で勇退する。公明党の委員会として、全日本ろうあ連盟から手話言語法を作りたいと相談があり、障害者基本法へ「手話は言語」と位置づけをした。議連として最後に手話施策推進法制定でき良かった。勇退後は障がい福祉への分野にOBとしても関わりを持ちたい。

障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 幹事長代行 井上哲士氏
被爆二世であり原爆の体験から、輝く社会を作りたいと思い議員になった。参政権に関してまだまだの社会であり、障害者が普通に生活できる社会を目指していきたい。

立憲民主党 内閣委員 筆頭理事 木戸口英司氏
全国ろうあ者大会までに、大会中に成立できればと思っていたが実現出来ず。内閣委員会として今国会で成立を目指すと決意し関わった。今は、ほっとしている。

障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 幹事長補佐 滝波宏文氏
読書バリアフリー法、情報コミュニケーション法と関わり、議連として三本目の法律として関わりが持て、超党派として党の垣根を超えて法成立に向けがんばってきた。各党への熱意ある働きかけが通じ成立できた。
来賓あいさつの最後は、(一財)全日本ろうあ連盟前理事長 石野富志三郎氏から熱い思いを語っていただきました。

一般財団法人全日本ろうあ連盟 参与 石野富志三郎氏
長きにわたる運動の成果であり、昨日(6月18日)の成立をとても待ち望んでいた。昔、手話は「手まね」「さるまね」と言われ差別が横行していた。私も幼少期のころ、同じ経験をした。なぜ手話を言語にできないのか。国連で手話の定義が決まり、手話に対する理解が拡まる中、国内法には手話を言語とする「根拠がない」ことが1つの要因であり、時間がかかってしまった。
全国運動の1つとして全ての地方自治体から意見書採択のための運動を展開し、全国に1700以上ある地方自治体議会から意見書採択を受ける。これは日本史初であり前代未聞の出来事である。これはろう運動の特質であり結束の表れである。15年前に手話を言語とする法律を策定させたいとの想いで運動をスタートした。
私は、周囲の仲間からいろいろと見聞きし、ろう者がどれだけの不遇を受け、耐え忍んで過ごしていたのか痛いほどわかる。だからこの偏見の目を変えたい。社会を変えたいと思った。夢が形となりこれほどうれしいことはない。これからは社会をよくすることはもちろんだが、若年層の手話通訳者養成や若い世代への支援につなげたい。
法が成立した時、勝利の美酒ではありませんがお酒を飲み喜びました。
あいさつが終わった後は「手話施策推進法について」と題し、議連事務局長 今井絵里子氏、参議院法制局課長 伊庭みのり氏からそれぞれ説明がありました。

議連事務局長 今井 絵里子氏
2024年6月20日、議連の衛藤会長から3本目の法律として「手話施策推進法」制定に向けた表明があり、ここでキックオフした。10団体とヒアリングを行い、事務局で骨子案作成、役所内との調整作業を進めてきた。本法律を作り上げていく過程で、様々な議員から「愛がこもっている」「とてもやさしい法律」とお声がけいただいた。そして本日、こうして報告できることで自分の役目がきちんと果たせ自信を持てた。

参議院法制局課長 伊庭みのり氏
この法律は3本の柱を基本として「習得」「文化保存」「国民の理解」としている。官報への掲載で公布となる。
続いて、全日本ろうあ連盟事務局長 久松三二氏から「活動を振り返って」と題しこれまでの運動についての経過説明、国に対する注文、今後の法の成熟などお話がありました。不遇を経験したろう者への想いや人権擁護、同じ国民として差別があってはならないなど、これからの社会、次世代へ続く運動についてまとめ話されました。

全日本ろうあ連盟事務局長 久松三二氏
参加者を代表して弁護士 田門浩氏、鳥取県聴覚障害者協会理事長 下垣彰則氏からあいさつがありました。田門弁護士は国連障害者権利委員という役職もあり国連の動きについて、下垣理事長からは鳥取県手話言語条例に関してあいさつされました。
弁護士 田門浩氏
鳥取県聴覚障害者協会理事長 下垣彰則氏
そして、最後に(一財)全日本ろうあ連盟理事長 石橋大吾氏よりあいさつがありました。

全日本ろうあ連盟理事長 石橋大吾氏
今回、法成立が実現でき大変喜ばしいがその半面、我々の願いとして「手話言語法」として制定いただきたかった。長年の運動、議連との歩み寄り、様々な要因から苦渋の決断をした経過もある。「名を捨てて実をとる」。5年後の見直し時に課題を洗い出し、手話は言語を明確に示せるようにしたい。
全通研から参加された方々から感想をいただきましたので紹介します。
●奈良支部 北野伊津子さん
ゴールではなくスタート!私たちの活動もパワーアップしたい。
●栃木支部 井腰香織さん
みんなが笑顔で、ハッピーオーラが見えるような報告会でした。全日ろう連の皆さまや、議員の皆さまの裏での相当な努力があったからこそ成立できたこともわかりました。法の成立がゴールではないということ。これからも、微力ながら一緒に活動していきたいと思います。
●千葉支部 米田市子さん
強い決意が人を動かし国を動かし、見事に手話の花を咲かせた瞬間! 感無量です!🙌🙌🙌
●埼玉支部 貝野一雄さん
ついに法律が可決!! これからです。施策の具現化へ向けて運動を進めていきましょう!
●静岡支部 荻島洋子さん
「名を捨てて実をとる」との言葉から、法案可決に至るまで幾多の苦渋を乗り越えてきたのかが伺いしれました。報告会会場のスクリーンに流れていたのは東京国会周辺をシュプレヒコールしながら列をなす集団でした。オレンジ色の集団のなかには自分もいたのだと思い、この15年間の活動が走馬灯のように思い出されました。ろうあ運動の歴史に新しく刻まれる瞬間に立ち会えたことを嬉しく思います。
この他、稲次由紀さん(兵庫支部)、門倉美樹子さん(石川支部)、村田洋子さん(東京支部)が参加しました。
最後に、この15年間という長い年月をかけ法律が成立することができました。これは全日本ろうあ連盟、全国手話通訳問題研究会、日本手話通訳士協会が三位一体となり諦めることなく粘り強く進めてきた結果だと思います。報告会開始前には国会周辺をデモ行進しシュプレヒコールをしながら歩く懐かしい映像が流れました。ここに間舩も参加させていただきました。
全通研の会員にもこの集会に参加され一緒に行進された方もいらっしゃるかと思います。当日、参加したくても都合で参加出来なかった会員の気持ちを託され、自身の想いと来たくても来れなかった会員の気持ちと共に、一生懸命に声を上げ、シュプレヒコールを叫び、声を枯らしながらも、それぞれが想いを胸に社会を変えたい、国を動かしたいという気持ちが今回実を結んだのだと思います。
支部1つ1つの力は小さいです。でも同じ思いを持って、小さな力があつまり全通研の大きな声として社会を変えたい強い気持ちが、ひいては三団体が一枚岩となって国を動かすことができたのだと感じました。この運動をした15年という歳月に関わっていただいた会員みなさんに感謝申し上げます。
故 橋本博行副会長も長きに渡り手話言語法制定推進運動本部委員として関わっていただきました。天国で喜んでたらうれしいです。

(左から)田門弁護士 渡部手話通訳士協会理事 久松事務局長 間舩
最後に記念写真を撮りました。久松事務局長からは「次世代へつなぐ、大きな運動ができた。今後ともよろしく!」と言葉をかけていただきました。
(文/写真 全通研理事 間舩博)
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