10月18日(金)自治体フォーラム「地域共生社会と自治体手話通訳者のしごと」が、石川県白山市の白山市民交流センターで開催されました。
今回は、今年元日に発生した能登半島地震における「被災地の取組から手話通訳者の役割を考える」をテーマに、久々の集合形式で行われ、自治体職員、手話通訳者など約50名の参加がありました。
まず、主催者である全通研の米野規子事務局長、そして共催である石川県白山市の田村敏和市長、社会福祉法人石川県聴覚障害者協会の達磨敏理事長より、それぞれご挨拶がありました。
主催者挨拶:米野規子 全通研事務局長
共催挨拶:田村敏和 白山市長
共催挨拶:達磨敏 (社福)石川県聴覚障害者協会理事長
【行政報告】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課の小畑和博自立支援振興室情報・意思疎通支援係長より「意思疎通支援事業と地域共生社会」の説明(オンライン)がありました。
行政説明:小畑和博 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室情報・意思疎通支援係長
【実践報告】
「令和6年度能登半島地震 自治体との連携について」 石川県聴覚障害者センター センター長 藤平淳一氏
地震発生の2時間後には対策本部を立ち上げ、地震発生と今後の留意点について手話言語による動画を発信。会員の安否確認、支援活動についての報告、被災した聴覚障害者への支援に対する県や自治体への要望活動の経過など、写真などで具体的に説明いただいた。これは、これまでの運動によって実現してきた石川県内の自治体手話通訳者(県内17自治体(全20自治体)に手話通訳者が設置。うち半数以上の10自治体には正規職員)とともに、発災当初から協会と自治体が連携して取り組んできたことが大きな要因でもあります。
課題として、聴覚障害者の名簿が把握できず、すべての聞こえない・聞こえにくい人たちへの支援につながらなかったことなどが挙げられました。
「被災地の取り組みから手話通訳者の役割を考える」 就労継続支援B型事業所やなぎだハウス 所長 佐藤香苗氏
ご自身も家屋に大きな被害を受けるなど大変な状況であった佐藤所長が、就労継続支援B型事業所の管理者として、また手話通訳者として奮闘された様子を丁寧に説明していただきました。発災翌日に透析患者であるろう者の支援にあたったこと、やなぎだハウス利用者でもある奥能登地方のろう者の安否確認に1週間以上の時間がかかったことなど、一人一人のろう者の生活と生命を守るために活動を続けてきたことについて、日頃からの地域とのつながりの大切さ、市町をまたいだ連携と自治体に設置されている手話通訳者の重要性がポイントであるとのお話でした。
「実際に会うことができなくて、こうして全国にたくさんの仲間がいてくれることが大変励みになった」という佐藤所長の言葉が印象的でした。
「避難所における聴覚障害者支援と自治体手話通訳者の役割について」 白山市障害福祉課課長補佐 堀口佳子氏
平成19年の能登半島地震、平成23年の東日本大震災、令和5年の奥能登地震から、自治体に設置された手話通訳者として被災者支援に関わった経験が、今回の能登半島地震においても活かされていました。複数の手話通訳者(計5名)体制があったことや、聴覚障害者のための地域活動支援センター あさがおハウスがあったことから、当事者団体の要請を受けて、二次避難所として奥能登の聴覚障害者を受け入れ対応されました。設置手話通訳者による24時間体制を整えるだけでなく、「聴覚障害者対応マニュアル」を作成し、市役所全体で聴覚障害者支援に当たったとのことです。しかし、奥能登のろう者の独特な手話は設置手話通訳者だけでは手話通訳が難しく、聴覚障害者センターのろうあ者相談員の協力を得ての支援となりました。
こうした対応は、自治体に複数の正規職員の手話通訳者が設置されていたこと、日頃から当事者団体、県内手話通訳者との連携やネットワーク構築ができていたことが大きな要因です。
改めて、自治体手話通訳者の役割、特に災害時等の緊急時対応における当事者団体、地域の手話通訳者との連携の重要性を再認識しました。
【まとめ報告】
全通研自治体業務・政策研究委員会 渡部委員長
【実践報告発表者】
・藤平淳一氏(前列中央) ・佐藤香苗氏(藤平氏の右隣) ・堀口佳子氏(藤平氏の左隣)
【久々の集合形式のフォーラムを終えて】
一つのテーマのもと、久々の対面形式で多くの同志が集い、学び合いの時間を共有できました。大変有意義だったと改めて感じたフォーラムでした。
行政報告をいただいた厚生労働省の小畑様をはじめ、今もなお被災された仲間たちの支援に奔走され、休日を返上して活動を続けられている藤平様、佐藤様、堀口様 本当にありがとうございました。また、本フォーラム開催のために全面的にご協力をいただきました白山市の皆さまにも改めて感謝を申し上げます。
【義援金の贈呈】
もう一つご報告があります。
先日、全通研創立50周年に併せて開催された臨時代議員会参加者有志からお預かりした義援金(金10万円)及びフォーラム参加者有志からのカンパ(金21,600円)を全通研の米野事務局長から石川県聴覚障害者協会の達磨理事長にお渡ししました。
【義援金の贈呈】
報告者:渡部芳博(全通研自治体業務・政策研究委員会)
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