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2024年8月19日 (月)

「WASLIアジア手話通訳者会議2024」その2

WASLIアジア手話通訳者会議2024に参加しました

 

 2024815日(木)~18日(日)の4日間、第36WFD(世界ろう連盟)アジア地域事務局代表者会議がインドネシアのジョグジャカルタで開催されています。この会議に並行して、WASLI(世界手話通訳者協会)アジア手話通訳者会議も同じ会場(Santika Premiereホテル)内で今日816(金)と明日17日(土)の2日間開催されます。私は日本からZoomWASLIアジア手話通訳者会議に参加しています。参加者は16の国と地域から47名(東アジア地域:韓国・香港・日本・台湾・中国・マカオ、ASEAN地域:マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリピン・ベトナム・タイ、西アジア地域:インド・ネパール・スリランカ・モルディブ)とWASLIアジア地域代表理事である全通研の宮澤副会長より発表されました。

 

 WASLIアジア手話通訳者会議は予定通り現地時間午前9時(日本時間11時)に始まりました。会議は国際手話で進められます。英語の音声言語通訳もなく(あっても私の情報量は変わりませんが)、ほとんど分からない国際手話を必死で見続けました。

WASLIクリストファー会長のメッセージ動画が流された後、午前のセッションが始まりました。テーマはWFD/WASLI認定国際手話通訳者について、講師はろう国際手話通訳者でありWASLI初代副会長であったドゥルエッタ氏(真夜中のアルゼンチンからZoomで講演)です。WASLI2007年のスペイン世界会議で発表したWFDとの共同声明には、国際手話通訳について協働することが述べられています。世界、地域、各国のレベルで、ろうあ者団体と手話通訳者団体が協力、連携して、ろう通訳者と聞こえる通訳者が対等に認められるよう認定制度の実現に向けて取り組むこと、またその際、各国手話や文化的背景などを尊重することが重要だというお話が印象的でした。

 

 1時間半のランチ休憩を挟んで、午後のセッションは14時(日本時間16時)に再開です。各国の手話通訳者養成・認定制度と手話通訳者の社会的地位について、フィリピン(PNASLI)、日本(日本手話通訳士協会)、韓国(KASLI)から発表がありました。フィリピンの手話法や大学の養成課程、韓国のろう通訳者認定や24時間体制の手話通訳センターなど、状況が異なるためそのまま取り入れることはできないと思われますが、各国で進む取り組みに驚かされました。手話通訳士協会からは日本の養成カリキュラムについてと、手話通訳者の高齢化という課題などが報告されました。参加者からは自国での参考にと質問が相次ぎ、多くの情報が共有されました。WASLIアジア手話通訳者会議の1日目は1640分(日本時間1840分)に終了しました。

 

 今日一日参加して、まったく音声情報がなかったので、かえって国際手話に集中することができたように感じました。休憩時の会話や交流イベントなど、現地で参加する意義は大きいですが、移動時間や台風など気象の影響を受けないZoomでの会議参加にも意味があると思います。明日も瞬き少な目で一日頑張りたいと思います。

 

              (文・情報広報部 国際担当 長崎千佳恵)

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「WASLIアジア手話通訳者会議2024」その1

「WASLIアジア手話通訳者会議2024」その1

 2024年815日(木)~18日(日)インドネシア・ジョグジャカルタで、「WASLIアジア手話通訳者会議2024」を開催しています。アジア各国の手話通訳者は毎年会議を開催しています。コロナ禍でここ数年はZOOMでの情報交換が主でしたが、今年は6年ぶりに第36WFD(世界ろう連盟)アジア地域事務局代表者会議に合わせて開催することができました。

 昨年は、韓国済州島での世界手話通訳者会議に合わせて開催されています。

 今回からは「WASLIアジア通訳者会議2024」という名称になり、ジョグジャカルタの会場とZOOMのハイブリッド形式です。アジアの16か国・特別行政区から47人(ろう者10人、聴者37人)がジョグジャカルタに集まりました。また、4か国から15人がオンラインで参加しました。
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 本日816日は、オープニングのWASLIストーン会長のビデオメッセージに続き、2つのセッションがありました。

 セッション1(9:0012:30)は、「国際手話通訳認定について」アルゼンチンのドゥルエッタ氏(ろう者・アルゼンチン・元WASLI副会長)による講演でした。ドゥルエッタ氏はアルゼンチンからZOOMで登場です。インドネシアが朝の9:00、アルゼンチンは前日の夜23:00です。23:00から講演してくれるだなんて、ホントに感謝です。講演ではドゥルエッタ氏が手話通訳になった経緯や、手話通訳者に求められる資質、WFDWASLIによる国際手話通訳認定の方法や状況についてお話いただきました。

 

 午後に行われたセッション2(14:0016:40)は、「手話通訳者の養成と資格認定システムについて」、フィリピン、日本、韓国から、それぞれの国の取り組みの成果等について報告がありました。フィリピンでは大学で手話通訳者を養成しています。しかし、大学単体ではなく、地域のろう団体やWASLI、他国の手話通訳者協会などと連携して、カリキュラムを整備しているそうです。韓国では、聞こえる手話通訳者は大学で養成し試験を行いますが、ろう者はろう団体が試験を行っているとのこと。両国とも手話言語法の制定により手話通訳についての認知が高まり、養成・資格認定システムの整備が進みました。また、韓国では通訳センターが195あり、それぞれにろう通訳1人と聞こえる通訳者3~4人がフルタイムで雇用されているそうです。ものすごい数の手話通訳者がいることになりますね。いずれにしても、行政に働きかけ、予算を獲得して進めていることが共通しています。

 

 セッション1でも2でも、講演や報告に関する質問が尽きません。参加者の熱心さ、関心の高さを見せられました。休憩時間中も、食事のときも、あちこちで情報交換です。会場内の使用言語は国際手話です。みんな国際手話ができるというわけではありませんが、手話通訳に関する言語外知識を共有しているせいか、なんだかわかっちゃうんですよね。

 

 インドネシアにいるんだなぁ…と実感したのは、セッションの途中でムスリム(イスラム教徒)の参加者が中座し、お祈りに向かったことです。ホテルの向いにモスクがあり、そちらに行ってお祈りするのです。空港にもお祈りの部屋が設置されていました。

 

 今回も、全通研はアジアから参加する国へ支援を行いました。今回は応募があった中からインドとネパールを支援することになりました。選定の条件は、①WASLI参加費基準のCEランクの国から参加する者、②自国の手話通訳者団体もしくはろう者団体の推薦を得ていること、③参加後にレポートを提出することとしています。本日2つの国に300ドルずつお渡ししました。ミッションを一つ完遂できてほっとしました。

 2_20240819155201参加支援① インドの参加者と 

 3_20240819155201参加支援② ネパールの参加者と            

 

               (文・写真/副会長 宮澤典子)

 

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