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2024年7月 8日 (月)

旧優生保護法最高裁判決

                旧優生保護法最高裁判決・・・最高裁へ行ってきました

 

 熱中症に注意するよう朝から警告が出されていました。カバンの中には水分補給ペットボトル、冷却用シート、筆記用具を用意して家を出ました。地下鉄永田町に向かう車内には傍聴希望と推測される人がたくさん乗っていました。運動の広がりと熱意を感じました。

 駅に降りると埼玉支部の方々と遭遇、なるべく太陽が直接当たらない道を通り、最高裁判所に向かうとすでに長蛇の列でした。傍聴希望の最後尾に並ぶよう指示されました。すでに列は3列以上になっていました。最後尾に向かって歩いていると渡辺会長や江原さん、全日本ろうあ連盟の役員や職員、関東の各支部のなかまの顔が見えました。私に配られた整理券の番号は237です。しかし、その後も私の後ろに並ぶ人が続き、さらに隣に新しい列、また、その隣にも新しい列が作られていきました。  

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 私たちが待機していた場所は最高裁の建物の中にある駐車場です。そこが人でいっぱいになってしまいましたが、直射日光が遮られる所だったので暑さはだいぶしのげました。また、今回は手話通訳者も公費で配置されました。法廷で奮闘していたのは東京手話通訳等派遣センターの方々です。複数の手話通訳者が配置されていましたが、裁判所のワイヤレスマイクの調子が悪く、聞き取りづらく、通訳しにくい場面もありましたが最高裁の職員も話す場所を変えるなどの努力をしていました。隣の列にいた中途失聴難聴者協会の友人からは「見えないから手話通訳をして」と言われ、久しぶりの手話通訳です。

 最高裁職員の動きを見ると、前回に比べ「聞こえない障害」について考え、対応の改善に努めている感じがしました。

 2時過ぎから抽選の結果発表がありました。車いす利用者、介助者と共にペアで入廷を希望する人、一般枠の3グループに分けての発表です。車いす利用者は43名希望で12名枠、ペアでの入廷を希望する方は27名との発表はありましたが枠数は聞き取れませんでした。そして、一般枠希望者は897名、抽選に当たる確率は限りなくゼロに近づいていました。運命の発表、渡辺会長、石川は抽選はずれ、江原さんが入廷を許可されました。

 報告集会と記者会見は午後430分から議員会館で予定されています。暑さのことと己の体力・年齢を考え、帰宅ラッシュを避ける意味で家に戻りました。

 430分からの報告集会にはZoomで参加しました。少し早めにアクセスしたので、準備で混乱する会場や要員の方の大変さも分かりました。国際会議室、多目的ホール、大会議室の3会場と大阪会場をオンラインで結んでの報告集会です。

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 司会からは最高裁での判決時、法廷は拍手の嵐となり、裁判長から注意を受けたというエピソードの紹介もありました。この判決の意味について新里弁護士から「期待した最大の判決」との報告があり、その中身として「旧優生保護法は立法時からの違憲」、「除斥期間についての平成元年の最高裁判例の変更」の意義の説明がありました。

 国は529日の最高裁法廷でも「20年を過ぎると賠償請求権が消滅するという除斥期間の適用」を主張していましたが、今回、最高裁はこれについて判例変更を行い、憲法違反の法を作っていたのが、一方的にそれを理由にして「国の損害賠償責任を逃れることは、著しく正義・公平の理念に反する」と断罪しました、気持ちの良い論理です。このことについて慶応大学の小山先生は「高裁判決は除斥期間の壁を解釈で少し動かしたが、最高裁は壁そのものを否定した」と述べられました。

 報告集会では、大阪、福岡、札幌、兵庫、仙台の原告の方々のさまざまな苦悩、人権侵害、そして判決についての喜びの発言がありました。同時に真の全面解決のためには25千人の対象者に対して、政府、立法府が謝罪することは当然、今後の検証の在り方、新しい立法の必要性が述べられました。

 本日の新聞でも最高裁判決について詳細・好意的に報道されています、最高裁判決を人権擁護の道しるべとして、人権侵害や差別を撤廃する運動の到達点として深く学びたいと思いました。

 本文中の写真については、東京の手話通訳の仲間が写したものです。本人の承諾を得て利用させていただきました。                  

                     全国手話通訳問題研究会参与 石川芳郎

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