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2024年7月 1日 (月)

日本手話通訳士協会 総会

 2024年6月16日(日)一般社団法人日本手話通訳士協会の総会が、東京都豊島区の早稲田速記医療福祉専門学校8階にて開催されました。5年ぶりに集合とオンラインによるハイブリッドでの開催でした。

 会場はJR高田馬場駅から徒歩1分と便利なところでした。

1_20240701110701 総会会場(早稲田速記医療福祉専門学校)

 総会の前に午後1時から講演がありました。

「職業としての手話通訳と電話リレーサービス」と題して一般財団法人日本財団電話リレーサービスの石井靖乃専務理事からお話がありました。

電話リレーサービスのはじまりから現在の状況までを詳しく説明してくださいました。

2_20240701110701 オンラインで講演

3_20240701110701 会場内

 オンラインによる講演が終わり会場の準備をして、1420分から総会が始まりました。

 司会は、早川理事が務められました。

 はじめに、鈴木唯美会長からあいさつがありました。

「5年ぶりに対面、ハイブリッドで開催されます。優生保護法裁判の最高裁大法廷での弁論があり7月3日に判決が出ます。東京都都知事選挙の政見放送の収録も本日から始まり、120人の手話通訳者が必要となっています。また、2025年のデフリンピックのための手話通訳者も必要です。特に心に残っていることは、1月1日に起きた能登半島地震です。3団体で災害救援中央本部を立ち上げて活動していますが、その中央本部として能登地域に4月29日に訪問しました。私もやなぎだハウスの修繕完工式に出席しました。『能登に帰りたい』というきこえない人がいることを地元の本部役員の人から聞きました。自分自身も被災している手話通訳者がきこえない人の支援にあたっている。きこえない人の思いと自分の思いが重なって『かわいそう』ということばになり、共感していることを感じました」

4_20240701110701 来賓席

 次に全日本ろうあ連盟理事長代理の山根昭治本部事務所長のあいさつがありました。

「総会おめでとうございます。15年間理事長を務めた石野から石橋に交代しました。中西が副理事長に選出されました。また、4人であった女性の理事が6人に増えました。能登半島地震では、支援金や義援金に協力していただきありがとうございました。やなぎだハウスの修繕完工式があった。モバイルハウスを作るなど長期的な支援が必要となっています。国連の障害者権利委員会の委員に田門弁護士が当選しました。日本からは2人目となりました。『517』という数字分かりますか、これはデフリンピックを開催するまでの残りの日にちです。デフリンピック開催と手話言語法制定に向けて頑張っていきたい。引き続き応援いただきたい」

 

 次に全日本難聴者・中途失聴者団体連合会会長代理 宇田川芳江副会長のあいさつがありました。

 「能登半島支援の義援金についてはJDFを通じて行った。手話通訳者や要約筆記者がまだ確立していない頃の話ですが、難聴者や中途失聴者に対して関係者が文字による支援をしていただいたことを皆さんはご存知でしょうか。難聴者や中途失聴者はろう者との交流の中で手話を学びろう運動に関わっている人もいました。手話関係者の方々が手話で通じなければ文字で伝えることができると気がつきました。私の住んでいる東京では1970年代にろう者、難聴者、中途失聴者、手話関係者らで連絡協議会を設立して都に対して要求を提出しました。手話関係者によって手話通訳と要約筆記のサポートが行われ、それが少しずつ広まりました。近年、専門性の高い意思疎通支援を行う手話通訳士はますます重要になってきています。難聴者や中途失聴者に対しても温かい支援をお願いします」

 

 次に特定非営利活動法人全国聴覚障害者情報提供施設協議会会長代理 川津雅弘理事からあいさつがありました。

 「全国で54か所に情報提供施設があります。6月13日から14日の2日間、総会と大会を宮城県仙台市で開催しました。内容は意思疎通支援事業、映像制作、相談事業及び遠隔手話通訳、施設での運営状況などでした。課題としては人材確保と編集技術です。また、災害緊急対応です。ICTについても幅を広げていかなければならない」

 

 そして、全通研会長としてあいさつしました。

一つ目は、5年ごとに行われている「雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態に関する調査研究」が2025年に行われる。手話通訳者の実態を把握する大切な調査である。皆さんの協力をお願いしたいということ。

二つ目は、差別解消法の合理的配慮の提供が民間業者に義務づけられた。それを逆手にして自治体が手話通訳派遣を控えることの事例が報告されたこと。このことは「ろう者の権利を守る手話通訳」の理念をどう貫いていくのか改めて考えなければならない課題だと考えていること。

三つ目に、全通研は創立50周年を迎え、時代の変化に対応した取り組み方に変えていくため組織的な改革を行ったこと。手話通訳に関わる社会の動きは多様となり課題は多くある。全通研は、日本手話通訳士協会、全日本ろうあ連盟と共に制度や暮らしをより良くするために、引き続き協力し合って前に進んでいきたい」と述べました。

 

 最後に、全国手話研修センターの黒﨑信幸理事長から「本日の総会の開催を心からお祝い申し上げます。貴協会の益々のご発展を祈念します」との祝電が披露されました。

 

 この後、議事に入りました。

 

士協会の総会に久しぶりに出席しました。一人一人が各地で頑張って手話通訳活動に取り組んでいた全通研の創立当時のことをしみじみと思い出しました。本当に大変な時代だったと思います。今後、手話通訳制度をより良いものにしていくためにも、関係団体が連帯し協力していかなければならないと強く思いました。

 

                                         (文・写真:全通研会長 渡辺正夫)

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