最高裁大法廷 口頭弁論
2024年5月29日(水) 最高裁大法廷 口頭弁論
前日までの強い雨風は落ち着いて、嘘のように穏やかな天気になりました。朝8時過ぎには報道関係者が最高裁判所の正門や西門に集まっていました。そのころから傍聴券を手に入れるため、支援する人たちが集まりはじめました。
最高裁判所の正面入口前には9時からの入廷行動を行うため支援者たちが列を作り、9時ちょうどに原告及び弁護団を先頭に、国に謝罪と補償を求める横断幕を持って正面入口に向かって歩きました。
入廷行動を終えるとすぐに傍聴の整理券を求めて西門入口に並びました。傍聴には全通研の仲間たちを含め、全国から約250人の支援者が駆けつけました。
入口を入ると立て看板に傍聴券の説明などが書かれていました。
傍聴は約140席で、整理券は307番までです。抽選は先ず車いすの方を優先的に行い、その後はコンピュータで行われました。9時20分ごろに傍聴できる人の当選番号がボードに書かれ、発表されました。私は、119番でしたが、残念ながら外れてしまいました。
傍聴券を手に入れた人は順次、最高裁に入場し、外れた人たちは、最高裁近くの衆議院第一議員会館地下の大会議室に集合しました。100人を超える人たちで報告集会会場が埋まりました。
10時30分から裁判に関連した動画を視聴しながら午前の部の記者会見を待ちました。
午後の傍聴券を手に入れるため早めの昼食をとるなどする人もいましたが、私は記者会見を聞くため会場に残りました。途中で、記者会見の取材のため報道各社が準備を始めました。このような場面に出くわすのは初めてでしたのでびっくりしました。
当初予定されていた12時15分からは始まらず、やっと12時30分に東京高裁と大阪高裁の原告と弁護団の報告が始まりました。
報告者は、東京高裁は原告の北さん、東京弁護団から岡崎弁護士と関哉弁護士で、大阪高裁は原告の野村さん、大阪弁護団から辻川弁護士、河野弁護士、小川弁護士でした。
北さんからは、「仲間が亡くなっている。その亡くなった仲間を含めて一日も早く全面解決を望んでいる。そのためにも良い判断をしてほしい。そして、謝罪してほしいと思っている」と訴えました。
野村夫妻からは、「一人目は生まれて残念なことに亡くなってしまった。その後に手術をされてしまった。子どもを産んで一緒に遊んだり、旅行に行ったりして良い思い出を作りたかった。しかし、優生手術で叶わなかった」と訴えました。
午後1時に記者会見は終了しました。
私は、東京弁護団の関哉弁護士の発言がとても印象に残りました。
「今日に向けて最高裁が障害者に対する合理的配慮をできるだけしようといろいろ調整してきた。手話通訳、要約筆記が最高裁としては初めて法廷に配置されたり、法廷までのルートに手話通訳者が付いたりした。また、案内表示も作成して設置した。最高裁がはじめてこのような配慮をしたことは非常に大きな意味がある。法廷の中では手話通訳者が付き、また左右のモニターに文字が映し出された。しかし、法廷内の手話通訳や要約筆記については裁判所による公費の負担ではなく、当事者が負担した。今後は、すべての情報保障について公費配置を求めていきたい」と述べていました。全くそのとおりだと思いました。
また、記者から「最高裁でこの口頭弁論が開かれる意味について」との質問に弁護団を代表して大阪弁護団の辻川弁護士から「除斥期間について統一的な判断がされると思う。北さんも訴えているように全ての被害者が救われる判断をしてほしい。優生保護法が非人道的で差別的な違憲な法律であると他の裁判所が認めているので、最高裁としても優生保護法が違憲な法律であることをきちんと宣言することだと考える」と述べました。
最高裁ではこの夏にも判断が下されるので、今後も注目していくことが重要です。
(文・写真:全通研会長 渡辺正夫)
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