第3回全通研Webアカデミー
第3回全通研Webアカデミー
2023年3月16日(土)に第3回全通研Webアカデミーがオンラインで開催されました。講師は植草学園大学副学長・毎日新聞客員編集委員の野澤和弘先生です。「発達障害の理解と支援」と題して講演していただきました。
今回は申込数が236名、当日の画面アクセス数は最大182でした。(集団視聴の支部あり)
全通研の中島みゆき理事が司会進行を担当しました。
近年、発達障害は急増しており多数派社会の中でさらに生きづらくなっているそうです。多数派がその特性を理解し、彼らにも合った社会にしていくべきで、それが多様性に繋がり、経済や文化の発展をもたらすとお話されました。
私が印象に残っているのは、「単品種の森は災害に弱い。さまざまな種類の草木がある森の方が災害にも病気にも強い」というお話です。さまざまな草木がある森というのは、多様性のある社会であり有事の時にも強いということです。
また、ビロンギング(安心できる所属感)というものを大切にしており、障害者の「能動的自律論」を実現できる社会が理想的であるともおっしゃっていました。
休憩をはさんでストレッチをして身体をほぐしました。
その後参加者からの質問にも丁寧にお答えいただき、実りある学習会となりました。その一部を紹介します。
Q1)仕事で聴覚障害と発達障害の重複の方と関わる機会がある。何かアドバイスを。
A1)ただ仕事を任せるのではなく、任せる意味をきちんと伝える。信頼しているから任せているといったところも伝えることで自信につながる。
Q2)最後のお話(ビロンギング)をもう少し詳しく。
A2) 生存権といえば堀木訴訟・朝日訴訟などが有名だが、例えば生活保護受給可否など金銭的な部分だけでなく、社会に能動的に関わる。例えば、重度障害者が何らかの役割を持つことで落ち着く。居場所や社会との関わりをどう作るかがポイント。
Q3)心のバリアフリーについて
A3)アスペルガーの方の支援で成功事例を紹介したが、これはあくまで1例であって、これが全ての方に当てはまるものではない。基本的には、ハマるものを探すしかない。それを専門職として探すこと。それが支援者を育てることになる。大変かもしれないが、AIにはできない人間にしかできない仕事であり、そのおもしろさも感じながら探してほしい。
私も聴講していろいろと勉強になりました。『弱さを愛せる社会へ』や『スローコミュニケーション』など、野澤先生の著書もぜひ読んでみたいです。
(文:全通研理事 新船洋平)
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