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2023年3月23日 (木)

第4回全通研Webアカデミー

 2023年318日(土)1330分より、第4回全通研Webアカデミーが開催されました。今年度最終のWebアカデミーです。

 講師は弁護士で手話通訳士でもある藤木和子さん。「優生保護法」聞こえない人と家族・手話に関わる人~障害者が子どもを産み育てる選択を否定した法律~というテーマでお話していただきました。

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 今回の申込数が229(申込人数は274人)ということで皆さんの関心のあるテーマだったと思います。当日のアクセス数は最大195でした。

 司会は全通研の髙橋祐哉理事。講演前の打ち合わせ時に宮澤典子副会長のあいさつが済んでいましたのですぐに、藤木和子さんの講演が始まりました。藤木さんはとても物腰が柔らかい、とても可愛い女性・・ですが、話の端々に芯の通った信念というか、自分の考えをしっかりお持ちになっていて、とても素敵な方です。

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 さて、講演はまず自己紹介から始まりました。ご自身の弟さんが聴覚障がい者で、そのことが自分自身に大きく影響しているとのこと。今、行っている裁判の中で知り合ったろう夫婦の話。そして裁判のこと。さらに未来への思いなど、盛りだくさんの内容でした。

 受講している私たちは、すっかりお話にのめり込んでしまい、我が事のように思う場面もいくつかあったのではないかと思います。

 

 優生保護法は、今はまったくなくなった法律と思っていましたが、そうではなく改正されて現在は「母体保護法」となっているとのこと。なので、「旧」という文字を弁護団はつけていないとのこと。当時は、障がい者本人が中絶や避妊手術を知らない間に行われただけでなく、第1子に障がいのある子どもが生まれたため第2子が生まれないように手術をした例があったことなど、今回初めて知ることもたくさんありました。

 

 また、大阪で起こった11歳の聴覚障がい児の交通事故の件にも触れられ(この裁判の弁護団にも藤木さんは加わっているとのこと)逸失利益を聞こえる人と同じということを訴えてきたが、今回の裁判では85%という判決だったことについてもお話がありました。

 

 弟さんが「聞こえない」という事実を、小さい時からいろいろな意味で受け止めてきた藤木さん。自分に向けられる大きな期待やその中での自分の「価値」ということへの葛藤なども今回お話していただきました。そして、誰もが「人間としての尊厳」を守られる社会を作っていかなければならない。例えば、生まれてくる子どもに対してどのような場合でも「おめでとう!」と言える世の中になることが、すなわち誰もが大切にされる社会であることにつながるのだと思いました。

途中10分間の休憩があり、そのうちの5分は心も体もリフレッシュするためのストレッチ(担当:中島純子理事)を行いました。

 

 藤木さんは、お話の途中に参加者からの質問にお答えいただき、また最後にも丁寧な回答をしていただきました。

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 あっという間の2時間。とても深く考えさせられるものでした。藤木さん、本当にありがとうございました。ますますのご活躍を祈念いたしております。受講された皆さん、お疲れさまでした。                

                            (文:中島みゆき理事)

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全国手話研修センター創立20周年記念式典

 前日の雨が止み、晴天に恵まれたとても暖かい2023年3月19日(日)、社会福祉法人全国手話研修センター創立20周年記念式典が地下1階のスタジオで、盛大に開催されました。全通研を代表して渡辺が参列しました。

 会場には65人の参加があり、懐かしい顔ぶれが揃いお互いの近況などを確かめあいながら話に夢中になっていました。

 参加者には、式典の冊子が配られました。

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 司会は、小中栄一全国手話研修センター事務局長が務めました。

黒﨑信幸理事長の開会のあいさつは「本日の式典を空からたくさんの先人たちが暖かく見守っているのではないか」から始まり、現在までの歩みなどを話されました。

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 次に、これまで全国手話研修センターに多大なるご理解・ご協力をいただいた5つの団体に感謝状が贈呈されました。

・公益財団法人一ツ橋綜合財団

・株式会社アステム

・アイアンドエフ・ビルディング株式会社

・サイバーライン株式会社

・社会福祉法人全国手話研修センター後援会

 

 続いて、勤続15年以上の4人の職員が表彰されました。

本当に長い間、お疲れ様でした。これからもよろしくお願いします。

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 来賓のあいさつがありました。

・厚生労働省社会・援護局 障害保険福祉部長 辺見聡氏(メッセージ)

・京都府知事         西脇隆俊氏(代理)

・京都市市長         門川大作氏(代理)

・亀岡市市長         桂川孝裕氏(代理)

・嵯峨自治会連合会会長    村上泰章氏(代理)

 

 京都市長の代理であいさつされた方は、手話入りの原稿を見ながらでしたが、最初から最後まで手話を使いあいさつされました。本当に頭が下がる思いでいっぱいになりました。

 

 関係団体や全通研支部など全国から寄せられた祝電披露では、時間の都合で1通だけ読み上げられました。送られてきた祝電は、皆さんの目に触れる形で掲示されていました。

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 「20周年の歩み・新しい歴史にむかって」と題して小出新一常務理事より話がありました。小出氏は20年にわたり、さまざまな困難に直面しながら一生懸命、全国手話センターの運営に携わっています。

 その小出氏から手話研修センター設立のときから、今日までの歩みをちょっと急ぎ足でしたが、スライドを使いながら説明していただきました。

 詳しく知りたい方は、ぜひ、「手話・言語コミュニケーション」№11をお買い求め読んでいただければ、あゆみが一目瞭然にわかるかと思います。特集記事は、「全国手話研修センター創立20周年に寄せて」です。

 ちなみに私事ですが、この本の巻頭言に「全国手話通訳問題研究会・50年のあゆみ」を幸いにも書かせていただきました。

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 今後への期待のことばが3団体からありました。

・一般財団法人全日本ろうあ連盟    理事長 石野富志三郎氏

・一般社団法人全国手話通訳問題研究会 会長 渡辺正夫

・一般社団法人日本手話通訳士協会   会長 鈴木唯美氏

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 私たち三団体は、資金を出し合って手話研修センターを立ち上げ、今日まで役員を派遣するなど運営を支えてきました。

 これからもセンターの事業を充実・発展させるために引き続き協力していかなければならないと考えています。

 

 最後に閉会のことばとして、全通研の副会長でもある近藤幸一理事から、「センター事業に対する直接の運営資金は国からは出されていない。これからセンターを発展させるためにも関係団体とさらに連携していかなければならない」とのあいさつがありました。

 

 舞台正面で記念写真の撮影をし、無事に式典は終了しました。

参加されたみなさんは、それぞれ20年の思いをめぐらしながら、20回目の「さがの手話まつり」などを楽しみ、解散しました。

 

 散会後、「20周年記念昼食懇談会」がホテルビナリオの創作和食レストランにて20人の参加者で開かれました。

和やかな雰囲気の中で美味しいご馳走をいただき、皆さんで会食しました。

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 私もこの建物には、たくさんの思い出があります。

代議員会や支部長会議でセンターをよく利用しました。最近は、参加人数が増えたことにより、会場や宿泊施設が手狭になり、残念ですが利用することが少なくなっています。

 以前は、大きなお風呂のお湯が朝になると冷たくなって入れなくなっていたこともありました。

そんなホテルとしての役目を一般の会社にお任せすることにより、手話関連事業に力を注ぐことができるようになっていったと思います。

これからも「手話」の拠点として私たち全通研は全力で支援していくのだと、思いを新たにしました。

 

おまけです。

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                   (文:全通研会長 渡辺正夫)

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