第4回全通研Webアカデミー
2023年3月18日(土)13時30分より、第4回全通研Webアカデミーが開催されました。今年度最終のWebアカデミーです。
講師は弁護士で手話通訳士でもある藤木和子さん。「優生保護法」聞こえない人と家族・手話に関わる人~障害者が子どもを産み育てる選択を否定した法律~というテーマでお話していただきました。
今回の申込数が229(申込人数は274人)ということで皆さんの関心のあるテーマだったと思います。当日のアクセス数は最大195でした。
司会は全通研の髙橋祐哉理事。講演前の打ち合わせ時に宮澤典子副会長のあいさつが済んでいましたのですぐに、藤木和子さんの講演が始まりました。藤木さんはとても物腰が柔らかい、とても可愛い女性・・ですが、話の端々に芯の通った信念というか、自分の考えをしっかりお持ちになっていて、とても素敵な方です。
さて、講演はまず自己紹介から始まりました。ご自身の弟さんが聴覚障がい者で、そのことが自分自身に大きく影響しているとのこと。今、行っている裁判の中で知り合ったろう夫婦の話。そして裁判のこと。さらに未来への思いなど、盛りだくさんの内容でした。
受講している私たちは、すっかりお話にのめり込んでしまい、我が事のように思う場面もいくつかあったのではないかと思います。
優生保護法は、今はまったくなくなった法律と思っていましたが、そうではなく改正されて現在は「母体保護法」となっているとのこと。なので、「旧」という文字を弁護団はつけていないとのこと。当時は、障がい者本人が中絶や避妊手術を知らない間に行われただけでなく、第1子に障がいのある子どもが生まれたため第2子が生まれないように手術をした例があったことなど、今回初めて知ることもたくさんありました。
また、大阪で起こった11歳の聴覚障がい児の交通事故の件にも触れられ(この裁判の弁護団にも藤木さんは加わっているとのこと)逸失利益を聞こえる人と同じということを訴えてきたが、今回の裁判では85%という判決だったことについてもお話がありました。
弟さんが「聞こえない」という事実を、小さい時からいろいろな意味で受け止めてきた藤木さん。自分に向けられる大きな期待やその中での自分の「価値」ということへの葛藤なども今回お話していただきました。そして、誰もが「人間としての尊厳」を守られる社会を作っていかなければならない。例えば、生まれてくる子どもに対してどのような場合でも「おめでとう!」と言える世の中になることが、すなわち誰もが大切にされる社会であることにつながるのだと思いました。
途中10分間の休憩があり、そのうちの5分は心も体もリフレッシュするためのストレッチ(担当:中島純子理事)を行いました。
藤木さんは、お話の途中に参加者からの質問にお答えいただき、また最後にも丁寧な回答をしていただきました。
あっという間の2時間。とても深く考えさせられるものでした。藤木さん、本当にありがとうございました。ますますのご活躍を祈念いたしております。受講された皆さん、お疲れさまでした。
(文:中島みゆき理事)
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