フォーラム「地域共生社会と自治体手話通訳者のしごと」
2022年10月21日(金)秋晴れの中、フォーラム「地域共生社会と自治体手話通訳者のしごと」が開催されました。秋晴れと書きましたが・・雨が降っても大丈夫なオンラインでの開催でした。
事前の申込みが518件ということで、とても関心を持ってくださっているのと同時に「学ぶ」ということに意欲的・積極的であり、学ぶ場・共有する場を必要と感じている方がいかに多いかを感じました。さらに、オンラインということで参加しやすかったこともこの数字に表れていると思います。(参加の最大画面数:452)
司会の岩谷誠司委員(全通研自治体業務・政策研究委員会)から流れ等の説明の後、渡辺全通研会長の挨拶、続いて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 企画課自立支援振興室 情報・意思疎通支援係の大江翔様より「意思疎通支援事業と地域共生社会」と題してお話がありました。
先日施行された「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」の概要説明がありました。この法の目的、基本理念について説明があり、それにより基本的施策が今後進められるとのことでした。また、これには付帯決議があり、その中に手話言語法について述べられています。「手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること」。今後、これらに期待したいと思います。障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについても述べられました。
続いて、実践報告です。まずは福島県郡山市保健福祉部 障がい福祉課 支援給付係 係長の岩崎由美子様より報告されました。岩崎さんは手話通訳者としての採用ではなく、一般職の方でしたが、自らの言葉で聴覚障害者施策について説明していただき、とても感激しました。郡山市の概要、設置されている手話通訳者について、そして手話言語条例について。2015(平成27)年3月議会で可決され4月1日から施行されました。特徴は災害時の対応、情報通信技術(ICT)の活用、その他の意思疎通支援の推進とのことです。災害時の対応についてのお話の中に「避難所用コミュニケーションボード」と「障がい者避難所対応マニュアル」がありました。どちらも非常に興味深いもので、参考に見せていただきたいと思いました。
情報通信技術(ICT)の活用では、支所と本庁の窓口を映像で結んで手話通訳での対応をしているとのこと。「遠隔手話通訳サービス」や「郡山市手話言語動画」配信のことなどもうかがいました。手話の講座も熱心にされており、市議会議員勉強会や新採用職員向けの研修としても行われています。今年度、手話奉仕員養成講座全26回をオンラインで開催されたということに、他の市町から多くの質問が寄せられました。
2つ目の報告は大阪府大東市福祉・子ども部 障害福祉課の前田裕俊様から報告がありました。大東市の概要、手話通訳について、そして手話言語条例について。大東市は2015(平成27)年9月に可決。11月より施行されました。大阪府下で最初だそうです。そして、手話施策推進方針(アクションプラン)を作成し、それに沿って施策を進めていくとのことです。ポスターやパンフレットの作成、掲示、配布、広報誌での取り組み、防災の取り組み(災害時支援用バンダナを作成)など多岐に渡っての活動をされています。今後は、手話の研修会も今以上に多様に対応して開催したいと考えておられ、その一つに「親子手話教室」の実施も検討中とのことでした。
両方の報告が終わった後、チャットに寄せられた質問からいくつか取り上げ、質疑応答の時間を設けました。手話奉仕員養成講座について、遠隔手話通訳について(高齢者への対応など)、バンダナの配布先について、手話講座の講師はどなたか、地域の当事者団体との協働についてなどさまざまな質問が出てきました。時間の制限もあり、すべてを取り上げることができず、回答できなかった方々には、申し訳ありませんでした。
最後にこのフォーラムを企画・実施した全通研自治体業務・政策研究委員会の取り組みについて、渡部芳博委員長より説明され、その後、閉会となりました。参加された皆さま、お疲れさまでした。このフォーラムで得たことが皆さまの業務に少しでも役に立つと幸いです。
(全通研 理事/自治体業務・政策研究委員会 中島みゆき)
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