10月25日(火)に、「優生保護法問題の全面解決をめざす10.25全国集会」が、東京の日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にて優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(ゆうせいれん)主催で開催されました。
私は集会に参加する前に、日比谷公園で行われていた第20回日比谷公園ガーデニングショーでコンテストに出品された作品を見に行きました。「馬れる MUSEUM」にはビックリさせられました。このとき、少し、雨がパラパラ降ってきました。

集会では雨が心配されましたが、終了まで何とか降らずに無事に開催できました。
会場には、1,300人ほど集まり、インターネット配信では1,208人の方が参加されました。

12時30分に開始。司会は、優生連共同代表の小倉さんと大橋さんです。
開会では、西村武彦共同代表(優生保護法被害弁護団)から「大阪高裁、東京高裁の勝訴を受けても国は差別、偏見は取り除かれていると言って最高裁に上告をしたことに、強い憤りを感じる。また、原告は高齢であるため、時間が残されていない。国会と司法に訴えていこう」と力強いことばがありました。
司会から、「優生連(ゆうせいれん)」は、2022年5月10日に発足しました。22の構成団体、10人の共同代表、そして、事務局10人が中心となって活動をしています。
理念と目的は以下の5つです。
①優生思想に基づきつくられた優生保護法問題の全面解決をめざし、障害者差別をなくすことをめざします。
②全国の関係者が手を携え、裁判の勝利をめざします。
③優生保護法問題の全面解決に向けて、優生保護法被害者・家族や弁護団と連携し、国と交渉 を行います。
④優生保護法問題や各地裁判についての意見や情報、活動の交流を行います。⑤市民社会に、広く優生保護法問題を知ってもらう活動を展開します。
現在、賛同団体は241で、全通研も賛同団体として加盟しています。
いよいよ本題です。
その1:各地の原告からのメッセージと裁判の状況(原告数)
全国各地の原告や代理や代読、またはメッセージが発表されました。
札幌地裁(3)、仙台地裁(7)、東京地裁(2)、静岡地裁(2)、大阪地裁(5)、神戸地裁(5)、福岡地裁(3)、熊本地裁(2)、名古屋地裁(2)
発表者には聴覚障害者が多く、各地で裁判が進められていることが分かりました。



その後、1999年の優生保護法改正後に不妊手術を強制された人と、滋賀県に対し優生保護法被害者情報公開請求訴訟の原告の京都新聞社の2人から状況報告がありました。
その2:連帯あいさつ
浅野史郎氏(元宮城県知事)、尾辻かな子氏(一般社団法人LGBT情報センター代表理事)、雨宮処凛(かりん)氏(作家・活動家)の3人から挨拶がありました。
浅野氏は宮城県知事在任中に起きた原告に対する県側の対応について、この場で謝罪をされました。また、尾辻氏はご自身のカミングアウトを通して感じたこと、雨宮氏は知的障害があるいとこが20代で亡くなったときの経験を話されました。
その3:来賓あいさつ
優生保護法に関する超党派の議員連盟から福島瑞穂事務局長(参議院議員)から連帯のあいさつがありました。
その4:特別シンポジウム「優生保護法問題の全面解決に向けて」
シンポジストとして5人が登壇しました。優生保護法被害弁護団から新里宏二氏と松浦恭子氏。優生連から利光恵子氏と藤原久美子氏です。コーディネーターは、藤井克徳氏です。

藤井氏から最大の問題点、全面解決、私たちに何ができるかの3点についてシンポジストに問いかけがあり、それぞれの立場で話されました。
新里氏は、「不妊手術の被害者は2万5千人。その内、裁判で提訴しているのは31人。殆どが声を上げられないでいる。声を上げた人が頑張ったことを全体の被害救済に持って行くこと。声を上げられない人のために同じ被害者を救済する仕組みを作らなければならない。一時金支給法では、2万5千人の被害者のなかの1,017人しか支給されていない。この一時金支給法では、お詫びしているのかしていないのかよく分からない。こんな酷い法律、憲法に違反している法律だということをきちんと認めて謝罪することである」と訴えていました。
松浦氏は、「最低限訴訟している原告の訴えが認められることが出発点。そして、これから続けて声を上げる被害者の被害回復及び方法・手続きが確立されること。声を上げることができない被害者を含めた全ての被害者に国は優生政策が誤っていたことを明確に認めて謝罪すること」と訴えました。
利光氏は、「被害実態の全容を明らかにするための調査と検証が必要である。その目的は2つ。1つ目は、今も声を上げられない多くの被害者を掘り起こし、その尊厳と人権の回復に繋げること。2つ目は、二度と同じ過ちを起こさないために、国が主導し各自治体の行政が福祉・医療・教育が一体となって進めてきた強制不妊手術の仕組みや構造を明らかに検証させること」が求められている。構造を明らかにし検証させること」が求められている。
藤原氏は、「国は責任を認め謝罪と補償をきちんとすること。最高裁に上告したことやまだ裁判をしている状況では謝罪していることになっていない。そして、何故こうなったのかが分かる資料と経緯がわかるものを、再発防止をきちんとしなければならない」と話されました。
このあと、指定発言者として及川智(とも)氏と山本秀樹氏の優生連の2人から訴えがありました。
その5:集会アピール
アピール(案)の読み上げが池澤美月氏(優生連事務局次長)からあり、参加者一同の賛同で決定しました。

その6:閉会あいさつ
大竹浩司氏(優生連 共同代表)から、「250の賛同団体と150団体から協賛金として434万円が集まりました。もう時間がありません。今が勝負だと思います。力を合わせて国を動かしていきましょう」との挨拶がありました。
司会より本当日の会場カンパが33万円集まったとの報告がありました。
その後、登壇者を先頭にデモ行進をしました。日比谷公園西幸門より財務省、官邸前、衆参議員面会所前、国会図書館前、そしてゴールが旧永田小学校裏のコース約1.5㎞です。衆参議員面会所では議員が出迎えてくれました。


「時間がない。原告者5人がもう既に亡くなってしまった」のことばには胸を痛めてしまいました。私たち全通研としても優生連の賛同団体として、会員一人一人がこのことに関心を持ち、それぞれの地域で闘っていくことを期待しています。
2022年10月25日
全通研 会長 渡辺正夫
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