健康普及員スキルアップ講座
10月10日(月・祝)に「健康普及員スキルアップ講座」がオンラインで開催しました。
健康普及員は、健康・頸肩腕障害に関する学習を通して知識を持ち、健康問題について日常的に関心をもって取り組んでいただくことを目的に2017年から創設し、全国各支部に複数人がいる事を目指しています。
学習する内容として、A:手話通訳制度・健康(運動論)、B:手話通訳者の頸肩腕障害(医学論)、C:メンタルヘルス(こころの健康)、D:ストレッチ等(予防)の4単位を履修するようになっています。全通研健康対策部が開催する「健康普及員養成研修会」では2日間で4単位を開講するので、これを受けると健康普及員証となります。この集中型以外には、3団体(全日本ろうあ連盟・日本手話通訳士協会・全国手話通訳問題研究会)開催の健康フォーラムや各ブロックや支部で開催される研修会(上記4単位関連内容で事前に申請し、健康対策部の承認が必要になります)に参加し、4単位を受講することでも健康普及員になれます。なお、健康普及員には「健康普及員証」を、支部を通してお渡ししています。(支部には代議員会の時に手渡ししています)
6年を経て、全国に多くの健康普及員が誕生し活動されていますが、健康普及員向けのスキルアップ研修を望む声が多くありました。そのため、新たな知識を得てより活動できるようにと、今回「スキルアップ研修」を企画しました。講義は2コマです。
1つ目は、「慢性の痛みの治療と予防」…滋賀医科大学・社会医学講座・衛生学部門の北原照代医師の講演でした。北原先生は、「手話通訳と頸肩腕障害」の第一人者である垰田和史先生(現:びわこリハビリテーション専門大学教授)と一緒に長く全通研と関わり、協力をいただいている先生です。
まず、「痛みとは」…正常な状態では痛みはない。急性の痛みは体を守るための反応で、傷ついた部分を一時的に安静にさせて修復を促すのでいわば必要なもの。身体や命を守るために欠かせない役割がある。
今回問題とするのは、急性期を過ぎても概ね3か月以上続く慢性の痛みです。多少痛くても我慢して無理をしてしまったり、治療の開始が遅れたり適切な治療が受けられなかったりすることで痛みは慢性化します。その痛みの治療には、薬物療法、認知行動療法、理学療法、手術、ブロック治療、鍼灸治療等、さまざまな治療法があるのでそれらを上手く選択することになります。最近は、これらの専門家がチームで身体的・心理的にアプローチする集学的治療が行われているそうです。
慢性の痛みのゴールは「全く痛くなくなりました」ではなく、痛みをコントロールすることで痛みを軽くして日常生活を送れるようになることです。それで職場復帰しても、以前通りの働き方ではなく、工夫・コントロールが必要です。
慢性痛を防ぐには、早めの対応が重要とのこと!早く気づいて早く対応しましょう。
2つ目は、「「手話通訳者にかかわる労災・公務災害~働く人々の補償はどうなっているの?~」…社会保険労務士・手話通訳士の寺垣英比古氏の講演でした。
まず、労災・公務災害が認められる範囲として「労働者」としての身分がある人が前提になるということで、労働者とはどういった立場の人なのかの説明がありました。
労災・公務災害の認定には条件があって、業務中や通勤途上で起きた尿器やケガであり、原因が仕事にあることです。また、手話通訳者が労災・公務災害を認められる条件も示されました。
次に補償制度の内容について、労災・公務災害(地方公務員災害補償基金)・公務災害(条例による公務災害)に分け、対象機関・対象者・補償機関の説明があり、加えて、会計年度任用職員について細かな説明がありました。
参加者の多くが興味を持ち、質問も多かったです。
オンラインでの研修ということで120人弱の参加がありました。
健康普及員研修では4単位の内容が決まっていますが、このスキルアップ研修ではこれまでの内容とは少し違った視点からの学びとなりました。
関わってみてはじめて分かることがたくさんありますが、こうして学ぶことで、今後役立つのだと思います。視野が少し広がりました。
また次の機会にぜひ参加してください。
(健康対策部員 井田睦子)
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