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2019年3月 7日 (木)

旧優生保護法下において強制不妊手術に関するJDFフォーラム

35日(火)、12時から参議院議員会館の1階講堂で、日本障害者フォーラム(JDF)・全国優生保護法被害弁護団の主催で「旧優生保護法下において強制不妊手術に関するJDFフォーラム」が開催されました。

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参加者は講堂がいっぱいになりました。主催者発表で263人が参加しました。

司会は、DPI日本会議議長の平野みどりさんが務めました。

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開会の挨拶は阿部一彦日本障害フォーラム(JDF)代表からありました。

 

全国から20人の被害者が国を訴える裁判を起こしたことが発表されました。全国の動きや各団体の活動を共有し、旧優生保護法下において行われた事実から考えるフォーラムにしたとの趣旨説明がありました。

 

続いて、優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟から7人の議員本人から挨拶がありました。また、4人の議員秘書も参加しました。

基調報告として藤井克徳JDF副代表よりパワーポイントを使って報告がありました。

 

主な話の内容です。

優生保護法以前に国民優生法があった。それ以前にナチスドイツの断種法があった。1948年に旧優生保護法が国会で決定。1948年世界人権宣言が出されているにもかかわらずに、1953年に不妊手術を強行させる通達があった。差別意識を醸成させるものであった。

この問題の真の解決に向けての取り組みとして、①国として謝罪を明確に宣言すること、②被害の実態究明、③知的障害者を念頭に分かりやすいこと、そして、人権に恥じない結論を出すこと。

また、新たな法制定にあたっての注目点は、①法律の名称(人権の尊重や回復を入れたい)、②前文に「国が」と入れたい、③目的をしっかり明記させたい(補償額についても明記させる。ハンセン病などの過去の事例を踏まえること、③検証体制には、民間人を入れていくこと、そして、何を検証するのかよりも誰が検証するのかが大事であること。最後に、原告が声を上げやすい状況を作ることがもっとも大切であると訴えていました。

 

次に、「旧優生保護法による強制不妊手術に関する全国の動き」と題して、新里宏二弁護士(全国優生保護法被害弁護団共同代表)から説明がありました。

そして、優生手術被害者・家族の会より5人による発言がありました。司会は、藤木和子弁護士が務めました。

「幸せになる夢を奪われた」、「国は、曖昧なことばかり言っている。さらに合法化で行われたなどと言っている。許せない」、「家族にも誹謗・中傷があった」、「同じ傷跡を持つ人を見たが、その傷のことを話す人は一人もいなかった」、「妻におたふくだとごまかしてきた。同じ人間なのに何故子どもを産んだらいけないのか」「高齢であり、すぐやってほしい」などこれまでの苦しみを話されていました。

 

本日、参加している弁護団の弁護士が前方に集まりました。その中から2人の現状報告がありました。

静岡では、聴覚障害の女性が提訴したこと。その女性は「長い間寂しい思いをしてきた。理由を知ったとき非常に悲しかった」と言っていたとの報告がありました。

兵庫では、聴覚障害者2組の夫婦と脳性麻痺の方が提訴したこと。「一生、家族を持てない苦しみを持ち続けて生きていかなければならない」、「配偶者にも被害があったこと」などを訴えました。

被害者・家族の会全員で声明を読み上げました。

 

続いて、各団体の取り組み・提言の発表がありました。

橋井正喜氏(日本盲人会連合常務理事)、大竹浩二氏(全日本ろうあ連盟理事)、増田一世氏(日本障害者協議会常務理事)、平野みどり氏(DPI日本会議議長)の4人の報告でした。

大竹氏は、これまでの全日本ろうあ連盟の調査の取り組み状況について話されました。大事なことは、これで終わりではなく、今後の生活のことまで考えて支援していかなければならないことを強く訴えていました。

 

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日本盲人会連合の原田さんが「優生保護法被害者のための新たな法律に関するアピール」を読み上げました。そして、参加者一同の賛成をもって決定しました。JDFのホームページにこのアピール文が掲載されると思いますので、参考にしてください。

 

総括として、石野富志三郎氏(全日本ろうあ連盟理事長)より、45年前ろう者にとって悲しい事件があったことを紹介しました。それは高校生の軟式野球大会で聾学校が優勝したにも関わらず準優勝に勝手にさせられてしまったことがあった。これは差別であると訴えていました。

 

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最後の閉会挨拶は、西村武彦氏(全国優生保護法被害弁護団共同代表)からありました。「人は生まれたときから幸せに生きる権利がある」「人間らしく生きられる社会を作ることが大切」などと訴えました。そして、運動を続けていきましょうと結ばれました。

被害者本人だけではく配偶者や家族を含めて考えていくことであり、被害者が高齢と言うこともあり、一刻も早い解決を望んで止まない。

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閉会後、2月から仕事を始められた聴覚障害のある弁護士さんと名刺交換をしました。聴覚障害のある弁護士さんは、12人目になるとのことでした。

 

(文・写真/全通研会長 渡辺正夫)

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