がまだせ!!やってきました、元気な熊本へ!
今年の熊本はNHKの大河ドラマ「いだてん」放送から始まり、ラグビーワールドカップ2019開催地、ハンドボール世界選手権大会開催地と、こんなに続くものかというくらいイベント目白押しです。
そんな年の初めに第4回全通研アカデミー~全通研学校Ⅲ~<九州会場>を開催。実りある研修ができました。
九州ブロックで会議や研修を行なう時は、必ずと言っていいほど各地のお菓子が集まります。今回も各地からお菓子と、熊本の仲間からコーヒー等の差し入れがありました。いつもありがとうございます。
会場は熊本森都心(くまもとしんとしん)という名称です。
熊本駅の目の前で便利のいい場所です。
例年1月第四土日はブロック研究集会開催となっているので、今回は全通研アカデミーに
乗っかって、ブロック研究集会の講座を設けています。
第一講座は明石市福祉局障害福祉課 共生福祉担当課長 金政玉(きむ じょんおく)氏による明石市の手話言語・障害者コミュニケーション条例の取り組みについてというテーマでご講演いただきました。
手話言語条例に取り組むと明石市長が公言したことでこの条例に取り組み始め、4回の検討委員会を経て、手話言語・障害者コミュニケーション条例が成立しました。この条例の特徴は、手話言語の確立とともに、多様なコミュニケーション手段の促進を規定しているということです。条例制定後、「明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」が成立しました。いずれも金氏が担当として関わっておられます。最後に合理的配慮について、個々のニーズ、社会的障壁の除去、意向尊重、非過重負担、本来業務付随、機会平等、本質不可の7つの要素を語られました。そして建設的対話と相互理解が大事であり、お互いに支えあう、やさしい共生のまちづくりを目指していくことを話され、共感しました。
お楽しみの夜の交流会。今回も弾みました。
講師お二人の久々の対面もあり、今日がご縁という実感をしました。
美味しいつまみと素敵な仲間。明日からの活力になります。
翌日、第二講座は憲法とろうあ者の生活というテーマで、田門浩弁護士の講演です。
まず、日本国憲法から「おしん」を考えると題し、話が進みました。(おしんがわからない方もあるかと思いますが、以前放送されたNHKの朝ドラです)例えば、貧しい家庭→生存権、学校へ行けない→教育を受ける権利、望まないのに奉公に出される→意に反する苦役の禁止、子どもなのに辛い仕事→児童酷使の禁止など、とてもわかりやすいものでした。日本国憲法は、国民主権、基本的人権、平和主義が3つの基本原理とされています。一方、大日本国憲法(明治憲法)は天皇主権、人権は天皇が作る法律の範囲内で認められるだけで、種類も少ない、天皇が戦争を宣言することができると、大きく違うことがわかりました。
また、高松・手話通訳保障訴訟についても話されました。この訴訟が起きる前にも、市に対して不服申し立てが複数あったにも関わらず市は派遣不可決定を行っていました。訴訟において憲法に基づき裁判所に主張を行なった結果、和解に至ったとの、何とも理解しがたい内容であったことも知りました。
最後はブロック企画で、遠隔手話通訳と電話リレー通訳というテーマで宮澤典子理事です。
まず、最近耳にするICTとは何かをまず確認しました。以前はITという言葉をよく耳にしましたが、ITとはインターネットや、OA機器等の技術そのものを指します。一方、ICTとは「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」情報にアクセスできる技術を指します。そして、ICTにはテレビ電話(ITC機器)を使った手話通訳サービスがあり、電話リレーサービスと遠隔手話サービスの2つがあることを学びました。
電話リレーサービスが広がっていますが、日本の現状は公的制度ではない、双方向ではないということ。また「通信」なのか「福祉」なのか定かではないということが話されました。
海外では公的サービスとして電話リレーを実施している国が25カ国あります。G7の中で唯一未実施という、残念な現実です。アメリカではADA法がきっかけとなり、公的電話リレーサービスが義務化されています。海外は公的サービスとして実施されているのに、日本は今後どうなっていくのか、不安を感じました。
遠隔手話サービスについては、対面通訳の特性と遠隔通訳の特性が整理されていないことなども挙げられ、通訳者の自覚、社会の認知、養成と研修等も課題であることがわかりました。
まだ手話通訳制度の中で整理されていない電話リレーサービスと遠隔手話サービスですが、課題を整理しながら、上手く活用できるように、また公的サービスとして位置づけられるよう議論を深めることの必要性を強く感じます。
今回九州だけではなく、中国地方からの参加もあり、100人を超える申し込みがありました。仲間が集えば実りも多く、明日からの元気ももらえ、エネルギーチャージできました。
やはり活動の原点である、ろうあ者の暮らしから学ぶを再確認し、学びの大事さを実感しました。
(文・写真/全通研理事 横溝和恵)
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