「私たちは健太さんの死を絶対に無駄にしない!」
2月14日(木)、午後1時から衆議院第二議員会館の第一会議室にて、安永健太さん事件に学び共生社会を実現する会主催の院内フォーラム「私たちは健太さんの死を絶対に無駄にしない!」に参加してきました。
参加者は第一会議室いっぱいになりました。約70人が参加しました。
この事件は、2007年9月25日、健太さん(中程度の知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害)が自転車に乗って障害者作業所から自宅に帰る途中で、不審者と間違われ、警察官から後ろ両手に手錠を掛けられ、5人もの警察官にうつ伏せに取り押さえられて心臓突然死をしてしまったというものです。
佐賀県警を相手に損害賠償を求める訴えを提起しました。しかしながら、不起訴処分になってしまった。このような事件を二度と起こしてはならないということで、院内フォーラムが開かれました。
司会は、赤松英和さんと田中洋子さんのお二人でした。
冒頭、弁護士の藤岡毅さんと健太さんの父親である安永孝行さんが挨拶されました。孝行さんは、「今でも真相が明らかになっていない」と涙ながらに訴えていました。
事件を振り返るビデオ上映に続き、斎藤貴男氏(健太さんはなぜ死んだかの著者)が、講演をしました。
当時の社会状況の影響を受け、障害者が安心して暮らしていける社会ではない中で起きた事件であると話されました。人間には優劣があるという社会ダーウィニズムの考えが強い時代であった。根本には優生思想があるとも話されました。
次に、浅野史郎氏(元宮城県知事)、藤井克徳氏(日本障害者協議会代表)のお二人の対談がありました。
浅野氏は成人T細胞白血病を患った経験の持ち主でありました。また、ダジャレ好きのユーモアたっぷりの人でした。厚生省の障害福祉課長を1年9か月務めたこともあり、その当時に優生保護法を変えることができなかったことを素直に謝っていました。また、自身の考えに「まちになれる、まちがなれる」と言っていました。西八王子にある自立ホームに通う障害者が駅員に上げ下げをしてもらっていました。ある日、駅員が駅長に訴えてスロープを付けることができた。障害者が駅を使うことから駅員を変え、駅が使いやすくなって変わったと話されました。
次に星野圭弁護士からこれまでの経緯と今後の活動についての報告がありました。
特に「障害のある人が当たり前に地域で暮らしていける社会をつくるために」私たちは今後も運動を続けていくと力強く訴えていました。
最後にパネルディスカッションがありました。
当事者家族として志村陽子さん、「障害のある人に対する警察官の対応を考える~米国の事例を参考に~」についてを採澤友香弁護士、「知的・発達障害は司法でどう扱われてきたのか」について市川宏伸日本自閉症協会会長からお話がありました。
閉会には辻川圭乃弁護士から挨拶があり閉会しました。
初めて知ったのですが、この「安永健太さん事件に学び共生社会を実現する会」の顧問に、全日本ろうあ連盟の石野冨志三郎理事長がなっていました。障害者が当たり前に地域で暮らしていける社会をつくるために、障害の枠を超えて協力し合うことも大切なことも学べた院内フォーラムでした。
(文・写真/全通研会長 渡辺正夫)
| 固定リンク
「全通研理事・事務局員の出張」カテゴリの記事
- 愛知支部記念講演(2019.05.08)
- 旧優生保護法下において強制不妊手術に関するJDFフォーラム(2019.03.07)
- 「私たちは健太さんの死を絶対に無駄にしない!」(2019.02.26)
- 全国手話言語市区長会 役員会・意見交換会(2019.01.31)
- 「障害インクルーシブな防災について考える」(2018.12.28)
最近のコメント