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2017年7月28日 (金)

2017年世界手話通訳者協会(WASLI)理事会に出席してきました

 715日(土)、16日(日)に開かれたWASLI理事会と、引き続き開催された第3回ラテンアメリカ手話通訳者会議(WASLIパナマ会議2017)に出席するため、長崎国際部員と2人でパナマに行ってきました。

 日本とパナマは14時間の時差があります。行きはマイナス、帰りはプラスなので、713日の午後2時過ぎに成田を出発したのに、パナマには同じ13日の夜7時半に着きます。逆に、帰りは19日午後4時過ぎにパナマを出発、成田に到着するのは21日の朝6時半。時間の感覚がなくなってしまいます。自宅に帰りつくまで30時間くらいかかった上に昼夜逆転なので、時差ボケで頭が少し朦朧としています。

 パナマは雨期の真っ最中ですが、想像していたような定期的なスコールではなく、朝からしとしと降ったり、ざーっと降ってすぐにやんだりという感じでした。気温は2829度くらいでそんなに暑くはなく、大阪や京都に比べると過ごしやすいのですが、湿度が高くホテルでの洗濯物が全然乾かずに苦労しました。

 ジカ熱や黄熱病が心配され、虫よけスプレーとムヒと蚊取り線香をしっかり荷物に入れましたが、一匹の蚊にも出会わず、熱帯にいそうな大きな虫にも遭遇せず、かなり快適に過ごしてきました。ジャングルに行かなければそんなに危険はないようです。

 

<理事会>

 15日の朝845分から2日間の理事会が始まりました。出席者はデブラ・ラッセル(会長、カナダ)、ジョゼ・エジニウソン(副会長、ブラジル)、イサベル・ヘイエリック(事務局長、ベルギー)、スーザン・エマーソン(会計、オーストラリア)、リズ・メンドーサ(北米代表、アメリカ)、アンジェラ・マーレイ(南洋州オセアニア代表、ニュージーランド)、梅本悦子(アジア代表、日本)、ナイジェル・ハワード(ろう通訳アドバイザー、カナダ)の8名です。

その他、スカイプ参加がイサベル・レイ(ラテンアメリカ代表、ペルー)、クリストファー・ストーン(ヨーロッパ代表、イギリス)で、デサンカ・ジジック(バルカン代表、セルビア)、ナターシャ・マリコ(アフリカ代表、南アフリカ)、アンナ・コマロワとイゴール・ボンダレンコ(ロシア・コーカサス代表、ロシア)は欠席でした。

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 (前列左から:デブラ、スーザン、悦子、リズ

  後列左から:イサベル、ナイジェル、ジョゼ、アンジェラ)

 

 いつも会議は英語で行われます。今回は、ろう通訳者のナイジェルが参加していましたので、音声言語は使わず国際手話で会議をすると言われました。「えーっ!そんな…。」私は国際手話ができません。そこで「ろう者に公平な参加を保障するのは当然。私が国際手話を学ばなければいけないのも理解している。しかし、いま私は音声英語がなければ会議に参加することはできない。公平な参加保障というなら、私には英語で伝えてほしい。英語も国際手話もできることを理事の条件とすることは厳しい。特にアジア地域代表は引き受け手が非常に限られる」と抗議し、私には誰かが英語通訳をしてくれることになりました。それでも大変なことに変わりはないのですが、なんとかヤレヤレです。

 理事会は、昨年の理事会報告の確認から始まり、会長以下3役の活動報告、各地域理事の報告と会議は進んでいきます。日本でも遠隔手話サービスが事業として行われるようになりましたが、理事会でも3D画像(アバター)を使った通訳の拡大について話題になりました。すべてを拒否するものではないけれど、例えばコミュニケーション場面では使わないなど使用範囲を決める必要があるのではということで、世界ろう連盟(WFD)と協議して共同声明を出そうということになりました。

 ラテンアメリカからは、ペルーでは今月にも手話通訳に関する法律が成立する見込み、ボリビア・ウルグアイ・アルゼンチンが手話通訳者協会設立を目指しているなどの報告がありました。オセアニアからは、来年8月フィジーで開催予定の第1回南洋州オセアニア手話通訳者会議に向けての準備が報告されました。ろう団体と通訳者団体との協働がなかなかうまくいかないという書面報告を事前に読んでいたので、『よりパン』英語版を持っていって手渡しました。「多くの国がこのようなパンフを必要としているので、増刷して各国に配布してほしい」と言われ、このパンフを自国語に翻訳してもいいかと聞かれました。日本の活動が国際的にとても注目されていることを実感しています。

 バルカンからは、世界大会に参加したいが財政的に貧困な国が多く参加が難しいという訴えが書面でありました。アジアもアフリカも同じ経済的課題を抱えています。財政の問題は解決がほんとうに難しいですね。アジア報告は私がしました。昨年のアジア手話通訳者会議の様子や、日本の手話言語条例の状況など報告しました。

 また、自分が通訳活動している場面を写真にとって、SNSに投稿している人がいるという問題提起もありました。仕事としての通訳でも、ボランティアとしての通訳でも、通訳場面の写真をアップすることは倫理上許されることではない、SNSの利用方法を会報などで明示しようということになりましたが、世界中課題は同じだと思いました。

 その他、WASLI戦略計画の進捗状況の確認や、ろう通訳アドバイザーからの報告、国際手話通訳者の養成・認定などについても話し合いました。もちろんWASLI国会員の拡大についても!

 2019年のパリ大会会場はソルボンヌ大学が提案されましたが、同じころツール・ド・フランスが開催され、ホテル代など非常に高くなるとのこと。パリ近郊都市での開催も含め今後も検討していくことになりました。

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 理事たちはちょっとしたお土産を持ち寄ります。少し食べてしまったのですが、写真を撮ろうということになりました。上の袋はデブラ会長が持ってきたカナダのメープルドロップス、大きな箱はイサベルが持ってきたベルギーチョコ、左上のこけしの包み紙のおせんべいは私が持っていったお土産です。

 2日間、朝から夕方までびっしり議題がつまった会議ですが、理事たちはよく食べ、よく飲み(コーヒーです)、よくしゃべり、とってもパワフルでエネルギッシュです。国際手話通訳者でもあるスーザンは、理事会が終わってすぐトルコのデフリンピックに向かいました。

 

<パナマ・シティの街なみ>

 南北アメリカをつなぐ陸地がもっとも狭いところで、運河で有名なパナマの首都です。16世紀初めからスペインの植民地だったので、スペイン風の建物がたくさん残っています。旧市街と新市街があり、新市街には高層ビルが立ち並んでいて、遠くにはトランプタワー・パナマも見えました。

 会議が行われたホテル・エル・パナマは新市街の目抜き通りにありますが、ビルが林立というよりも、古き良き時代を彷彿とさせる庶民的な地域でした。ホテルのすぐ隣りにあるカルメン教会から、毎日朝夕に鐘の音が響いてきます。目覚ましがなくても、毎朝6時にはきちんと起こされました。

 道路はあまり整備されていず、あちこち穴ぼこが目立ちます。信号も少なく、地元の人は片側3車線の広い道路をさっさと渡ります。私たちはいつも地元の人が来るのを待って、一緒に渡りました。歩道も歩きやすくはありませんでしたが、ゴミは落ちていず清潔です。

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 (カリブ海の向こう側のビル街と、ホテルの前の通り)

 

 カジノはいくつか目にしましたが、どのような人が利用しているのかはわかりません。海岸通りでは若い人たちがバスケットボールやバレーボール、ダンスに興じていて、健康的に時間を過ごしているという感じです。子どもの時からダンスをしているので、あんなにみんな上手なのでしょう。

   

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<中南米の手話通訳者協会との懇談>

 17日(月)の午前中に、ラテンアメリカ各国の手話通訳者協会の代表たちと懇談会を持ちました。まずWASLI理事が順番に自己紹介と挨拶です。ラテンアメリカはブラジルだけポルトガル語で、あとはすべてスペイン語が公用語です。私は…スペイン語も国際手話もできないので、日本の来賓挨拶のように「日本から来ました。お会いできてうれしいです」だけ国際手話でやり、後は英語をスペイン語に通訳してもらいました。

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 (左:ラテンアメリカの手話通訳者協会代表たち  右:1人ずつ挨拶しました)

 

その後、WASLI副会長とWASLIラテンアメリカ理事、そしてコロンビアの手話通訳協会のホセさんの3人が全体の話をします。その時は、英語がとてもうまい通訳者がサッと私の横に座って、話の内容を通訳してくれました。さすが、通訳者ですね!

ところが、耳を疑うような英語が聞こえてきたのです。「悦子に日本のろう団体と健聴者団体のコラボレーションについて、1時間か30分話をしてもらいましょう」。英語を聞き間違えたかと思いましたが、そうではありませんでした。日本がとてもうまく協働しているので、どんなふうにしているのか話をしてほしいというのです。「ここで断っては大和撫子の名が廃る」かどうかわかりませんが、日本の活動が参考になるならと、一大決心!引き受けました。

 

<日本の活動報告>

19日のお昼にはホテルを出発し、帰国の途につかなければならないということで、急遽18日の午後4時半から報告ということになりました。実際には5時すぎからになりましたが、17日の夜と18日の午後はその準備で大わらわ。ブラジルのジョゼから「何かを教えようと思わないで。日本がどんなふうに一緒に活動しているのか、具体的に伝えれば自分たちの国に当てはめて考えられる。教えるという態度は押しつけになる」と助言され、運転免許、欠格条項の撤廃、全国研修センターの設立と活動、通訳者の健康問題の4つに絞って、署名活動や学習会をどのようにしているかを話しました。

 私の拙い英語を聞いて、言いたい内容をすぐにキャッチしてくれ、スペイン語で通訳してくれます。通訳者がいて、自分が言いたいことが伝わることの安心感と信頼の心強さをひしひしと感じ、私もろう者にとってそのような存在でありたいと強く思いました。

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 (左:ジョゼとスペイン語通訳をしてくれた人  右:15人くらいが参加)

 

<第3回ラテンアメリカ手話通訳者会議>

 17日午後2時から開会式が行われました。政府関係者、WASLI会長、WFD理事、WASLIラテンアメリカ地域理事、パナマ手話通訳者協会会長(ろう者です!)、パナマろう協会会長など、来賓が舞台にずらっと並びます。

 そして、舞台下にはなんと8人の通訳者がいるのです。音声言語はスペイン語だけなのですが、手話が各国異なるのでそれぞれの国の手話通訳者と国際手話通訳者が並んだのです。ほんとうに壮観でした。ラテンアメリカ14カ国と海外からの参加者を含めて、約200人の素晴らしい大会です。

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 19日朝のコロンビアからの報告の中で、18日に話をした日本の活動についても話されました。さっそく参加者全体に話をしてくれて、十分な準備もできなかったけれど頑張って話をしてよかったとうれしくなりました。

 

<大会期間中のランチ交流>

 大会参加の手話通訳者たちと一緒にランチ交流の機会がありました。同じテーブルにはパナマ、コロンビア、ベネズエラ、コスタリカの手話通訳者たちがいました。パナマとコロンビアの手話は似ているけれど、ベネズエラの手話はまったく違うということでした。また、ベネズエラの男性通訳者は精神科医で少年院でカウンセラーをしていて、ろう者が来たら手話で対応するということでした。いろんな職業についているんだなと思いました。同じ食事をして、手話通訳という共通の話題で話しができて、みんながとても身近な仲間と感じました。

   

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(文・写真/全通研理事 梅本悦子)

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