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2015年10月15日 (木)

2015年度支部長会議

10月3日、4日の二日間、京都の全国手話研修センターにおいて、2015年度支部長会議が開催されました。
全国47支部の代表が一堂に会してのこの会議は、代議員会で決定された今年度の方針の各地域での進捗や課題を確認し、さらなる運動に繋げるものです。
 
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冒頭、石川会長からは、障害者総合支援法の3年見直しや障害者差別解消法の施行を控えた今、「全通研がめざす手話通訳制度」の学習が必要であることや、どんな社会を目指すのかを、暮らしから具体的に考え、要求していくことが必要であること、最近の集団的自衛権をめぐる動きなどにも触れた開会挨拶がありました。
 
 
 支部長会議一日目は「全通研がめざす手話通訳制度」について考えるグループワークです。
まず、米野理事から、この「めざす制度」は手話通訳者の正規雇用を中心とした制度設計が最終目標ではなく、あくまで「聴覚障害者の暮らしが豊かになること」や「誰もが安心して豊かに暮らせる社会を作る」ことが目標であり、今回3つの事例を通して、聞こえない人の暮らしと、その環境について考え、どのような働きかけや社会資源があれば豊かな暮らしにつなげられるかを学習する、というグループワークの趣旨説明がありました。
 
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事務局からの3つの事例説明の後9つのグループに分かれ、それぞれあらかじめ指定された事例について40分間のグループワークに入りました。
 
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各グループからグループワークで話し合ったことを報告した後、「全通研がめざす手話通訳制度」の各地域での学習会について、すでに実施した地域の中で静岡、山口、大分の各支部から学習会の様子の報告がありました。
 
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最後に近藤副会長より、今回のグループワークを通して聴覚障害者の暮らしに適切に介入していくためには継続性や専門性が必要であり、そのためには雇用型の手話通訳が必要であるという共通認識は持てたのではないかとのまとめがあり、一日目は終了しました。
 
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 支部長会議二日目は4つのテーマごとにグループ討議を行う課題別討議です。4つのグループに分かれて3時間の討議ののち、最後に全体で集まって各グループからの報告がありました。
 
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 グループ テーマ:「地域の制度や取り組み」
 専任通訳者の集まりについて、会議が行政主導で召集されると話がしやすいこと、集まりは大切という認識はあるが実際にどうやって集まるかを悩んでいる支部もあること、設置通訳プロジェクトチームを作っている支部があることなどの報告がありました。
 手話言語条例については、理念だけではない実効性が重要との話があり、条例制定の動きのある地域からはそれぞれの取り組みの報告がありました。
 
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 グループ テーマ:「組織拡大と後進人材育成」
専任通訳者の会員化、会員拡大、役員の担い手の育成と定着、会員であることが自覚できる取り組みなどの課題が出されました。
 若い層はラインやブログコメントの活用などコミュニケーションツールが多様化しており、SNS(ソーシャルネットワークサービス)について知っておくことも大切、また、若い人同士で入会呼びかけができるような工夫も必要という話があり、若い人のニーズが変わっていることを頭に入れておくべきとの報告もありました。
 
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 グループ テーマ:「手話通訳者の身分保障や働き方、健康問題」
専任通訳者の集団について、手話通訳者として活動を始めた時期によるジェネレーションギャップのようなものがあるという話や、各支部の専任通訳者の集りの持ち方についての意見がありました。
 健康問題としては、盲ろう通訳などとの多重登録をしている通訳者の問題やメンタル面を診られる健診が少ないという問題が出され、今後の調査課題であるとの報告がありました。
 
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 グループ テーマ:「学習・事業活動」
 各支部の取り組みとして、手話劇で社会情勢を取り入れた劇にしていく取り組みや、様々な学習会の報告がありました。
 資金確保ではグッズ販売や書籍の販売の他、支部で通訳派遣をして資金を得ている支部や助成金の申請をしている支部の報告もありました。
書籍の関係では、書籍の普及のために会員のみではなく他団体との人間関係作りが大切との報告があり、また、出版物の普及は楽しい学習があってこそであり、集団で学習して個人で深めていく使い方も大切との意見がありました。
 
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 各グループからの報告の後、伊藤事務局長からのまとめがありました。現在の日本では、社会福祉の公の後退と言うマイナスの動きがある一方、手話言語条例の制定など手話に対する認知、評価がプラスの評価に動いている。そのような情勢の中、全通研という組織が社会に提起している問題を実現する好機である。それを実現するための学習や研究、組織を強化することの必要性を改めて確認できたと思う、との話でした。
 
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 最後に渡辺副会長より、今様々な国の動きがあるが、私たちの運動の根本にあるのは憲法であること、全通研の長期ビジョン「きわめる、たかめる、はたらきかける」の頭文字「き・た・は(わ)」を合言葉に学習を進め集会レポートの作成にも取り組んでほしいこと、健康を大事にとの3つの話があり、これからの半年も皆さんと一緒に頑張っていきたいとの挨拶で支部長会議は閉会しました。
 
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 盛りだくさんの内容で二日間に渡って行われた支部長会議でしたが、参加された皆さん本当にお疲れ様でした。
 
(文/全通研事務局員 西村穂  写真/全通研事務所)

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