第1回全通研アカデミー~全通研学校Ⅲ~<北信越ブロック>
7月19日に富山市で開催され、北陸5県と岐阜県、三重県から33名の参加がありました。
講座は次の2つでした。
第1講座 「高齢聴覚障害者が豊かに生きるって何?」
講師:加藤ひとみ氏(愛知県・ほっとくる ケアマネジャー)
第2講座 「高齢聴覚障害者が地域でいつまでも暮らすために」
講師:金川宏美氏(富山県・NPO法人大きな手小さな手 代表理事)
【第1講座】
「ほっとくる」は地域活動支援センターや訪問介護事業など、愛知県聴覚障害者協会が
事業主体となって、手話で会話ができてほっとできる聴覚障害者の専門機関です。
加藤さんはそこでろうケアマネージャーとして仕事をしています。
最初に「ほっとくる」を動画で紹介しました。
6年前に開設したところ、介護に関わることだけでなく、それ以外のこともいろいろ相談が持ち込まれ、ろう高齢者が抱えている生活上の問題が想像を超えて見えてきたということです。
ろう高齢者が日常の生活に困難を抱えていることを支援したり、周囲の聞こえる人に理解をしてもらったり、現在の介護度の認定調査では聞こえないために起きる問題が把握できなく理解されにくいことなどを具体例を交えて話されました。
訪問介護を利用しているろう高齢女性を連れてきた加藤さんは、その女性とやり取りをして、生き生きしている様子を見てもらい、人はいくつになってもいろいろな人と関わりいろいろなことを学んで成長できるものだ。
また、支援が必要なろう高齢者が各地域にいるので、その人たちが豊かな生活をしていけるように、手話通訳者とボランティアと協力・連携して共に考えてやっていきたい、と話されました。
【第2講座】
富山県聴覚障害者の医療を考える会で活動をしていて、高齢の問題が話題になり実態調査をしたことがきっかけで、県聴覚障害者協会が本格的な調査をして実態がはっきり見えたことから、形にしたいということで、昨年NPO法人「大きな手小さな手」を立ち上げました。
ここは障害福祉サービス事業と障害児通所支援事業を行い、ろう高齢者だけでなく、ろう児も含めて全ての年齢の人を対象にしているのが特徴で富山型デイサービスと言われています。
利用者が16名と実態調査で予想された人数より思ったより少なく、その理由に、「あの人が利用する、利用するであろうから、行きたくない」とか、聞こえる家族の理解が得られないなどを挙げていました。
利用者は手話で楽しそうにおしゃべりをしているし、また、あるろう者が近隣の人とトラブルを起こしている原因が社会性の欠如なのに、認知があるとか、精神疾患だなどと判断されてしまう状況があるなど、具体例を挙げながら話されました。
そして、聴覚障害のことを理解して関わっていく場の必要性を強調し、そういう場所が県内1つなので、遠くは高速道路を使って送迎しているとのことで費用の面でも苦労されていることも話されました。
開所してから1年経つといろいろな課題が見えて、デイサービスではできない地域の仲間や県聴覚障害者協会、情報提供施設、行政などとの連携の必要性が整理できて、今後につなげたいということでした。
(文/写真 全通研理事 長谷川達也)
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