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2014年12月17日 (水)

手話言語法成果報告会/手話言語法制定を求めるパレード12.12

 2014年12月12日(金)に、東京の都道府県会館で全日本ろうあ連盟(以下、「全日ろう連」)主催の
「手話言語法成果報告会」および「手話言語法制定を求めるパレード12.12」が行われました
(当初、11日(金)には国会議員に対して手話言語法を求める要請行動を予定していましたが、
衆議院の解散を受け要請行動は中止となり、報告会とパレードのみの開催となりました)。
 
全通研から、石川会長、渡辺副会長、職員の高市が参加しましたので、報告します。
  この集会には全通研各支部(会場では、山口、静岡、埼玉、東京等)からもたくさんの参加者がありました。
 
 
★成果報告会(参加者数:208人)
 冒頭に、全日ろう連の石野理事長、手話言語法制定推進事業を助成している日本財団の笹川会長、
全通研の石川会長の挨拶がありました。
石野理事長からは、一人ひとりの力を結集して大きな力に変えていこう!という決意表明があり、
笹川会長からは、草の根レベルでの地域の活動が結集して社会を変え、法律を作り上げていくことが大切
とのお話がありました。
石川会長からは、情報保障の担い手である登録手話通訳者の高齢化(40~60代が全体の80%、20代は0.7%!)
について言及し、地域を変え、全日本ろうあ連盟とともに「安心できる手話通訳制度」を作っていきたい
との発言がありました。
 
 
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  ▲全日ろう連 石野理事長
 
 
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  ▲日本財団 笹川会長
 
 
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  ▲全通研 石川会長
 
 
 その後、全日ろう連の中橋理事より、全国の手話言語法に関する意見書採択状況が報告されました。
1,788の自治体のうち、現在1,376自治体で意見書が採択されていること、来年3月末までには
採択率100%達成を目指していること、意見書が採択されたら運動が終わりなのではなく、
次の取り組み(国に対して手話言語法制定を求める動き)に移ることが大切であるとの発言でした。
 
 
 各地からの取り組み報告は、9つの県と、全国9ブロックからありました。
12月12日(金)段階で手話言語条例が成立した自治体は7つですが、その後12月議会、3月議会などで
成立予定の自治体が8つ、また、条例づくりの動きが始まっている自治体が5つあるそうです。
 条例が成立した地域からは、子どもに対しての手話指導や手話講習会が始まるなど、
広く市民に対して手話を普及する取り組みが進んでいる一方、
手話通訳派遣件数が増加したために担い手不足が課題であるという報告もありました。
また、条例が成立したことにより、役所に手話通訳者を設置する動きが始まったという地域もありました。
 各地の報告を聞き、手話言語条例は全国画一的なものではなく、ろう児の「手話を獲得する権利」を
盛り込んだものであったり、情報通信技術の活用を盛り込んだものであったり、
それぞれ特徴があることが分かりました。
 
 
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  ▲報告会の様子
 
 
 最後に全日ろう連の長谷川副理事長から、
「手話を学ぶ人口が増え、いつでもどこでも誰でも手話通訳を使える環境ができてきている。
ただし、課題として手話講師や登録手話通訳者の絶対的不足、手話通訳者の高齢化、
頸肩腕障害の問題などがある。
地域から、国に対して手話言語法制定を求める動きを進めていきましょう!」との決意表明がありました。
 
 
★手話言語法制定を求めるパレード12.12(参加者数:約700人)
 成果報告会の後、午後からは手話言語法制定を求めるパレードがありました。
このパレードには、全通研関東ブロックの方々に、手話通訳や救護の協力をいただきました。ありがとうございます。
 要員説明会のあと、担当ごとに打ち合わせをし、集合した参加者に対して
注意事項などの説明を行ってからのスタートです。
参加者は2つの梯団に分かれ、それぞれアピール文の読み上げ、シュプレヒコールを行いながら、
日比谷公園から、財務省や文部科学省などの各官公庁前を経由し、新橋、銀座の数寄屋橋までパレードしました。
 
 
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▲第1梯団の先頭
 
 
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▲第2梯団の先頭
 
 
 第1梯団の先頭には、全通研の石川会長、全日ろう連の石野理事長、小中副理事長、長谷川副理事長が立ち、
横断幕を持ちました。
第2梯団は手話言語法制定推進運動本部委員でもある全通研の渡辺副会長、全日ろう連の中橋理事、石橋理事、
そして大杉委員が先頭で横断幕を持ちました。
私は、全日ろう連職員の石原さん、士協会職員の川島さんとともに読み上げを担当し、
拡声器を使ってシュプレヒコールをあげました。
 
 
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▲シュプレヒコールの読み上げ
 
 
 パレードは、歩道ではなく車道を歩きます。
警察の指示に従いながら、車に気をつけながら進みました。
横断幕は各梯団に2枚ずつ配布され、トップだけではなく車道側に見えるようにも参加者が横断幕を持ちました。
参加者それぞれが準備したプラカードなども掲げてアピールです。
また、今回のパレードのために、全日ろう連が鮮やかなオレンジ色の軍手に、
全日ろう連のマークデザインが紺色で印字されている「パレード手袋」を製作しました。
参加者の多くはこの手袋をつけ、パレードしました。
 
 外を歩いている方々は、私たちのことを物珍しそうに見ておられました。
アピール文やシュプレヒコールが手話通訳される様子を目にし、
私たちの訴えを聞いて「手話」や「聴覚障害者」について、少しでも関心を持っていただければ…
との思いでいました。
 
 私がこういったパレードに参加するのは、2005年7月に行われた
「このままの“障害者自立支援法案”では自立できません!7.5緊急大行動」以来でした。
当時は、障害者自立支援法の成立をめぐって手話通訳の利用料が有料になる…?という国の動きがあり、
この時のアピール文を見返すと「コミュニケーションの保障は、あらゆる制度利用と社会参加の基本となるものです。
手話通訳や要約筆記等のコミュニケーション支援については
国が責任をもって財源保障をする仕組みにしてください」という一文がありました。
 
 あれから9年経った今、聴覚障害者を取り巻く環境はどう変わったのか…と考えると、
障害者権利条約の批准があったとは言え、改正障害者基本法、障害者総合支援法、障害者差別解消法等の
制度改革はまだまだ不十分なものです。
 聴覚障害者、コミュニケーション保障を担う手話通訳者どちらにとってもよい制度をつくり上げるために、
私たちは声を上げ、訴え続けなければならないことを、改めて痛感しました。
 
(文 全通研職員 高市奈都子/写真 渡辺正夫 副会長)

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