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2014年7月29日 (火)

「けいわんの公務災害認定を求める」活動報告 そのⅡ

 
7月24日午後2時15分から口頭意見陳述が滋賀県庁内で行われました。これは非公開なので、参加者は地方公務員災害補償基金滋賀県支部審査会に補佐人登録をしなくてはなりません。「支援する会」を構成する3団体代表、全通研理事、「働くものの命と健康を守る滋賀県センター」から2人と北原先生の合わせて17人が登録し、参加しました。通常は4,5人らしく、「なぜこんなにたくさん参加するのか?本人との関係は?」などいろいろ聞かれました。
 
【事前打ち合わせ】
本番に向けて、13日の日曜日に打ち合わせをしました。この日は全体の流れの確認と、基本的な知識を持ち合わせないであろう審査委員のみなさんに視覚的情報をと準備したロールプレイの練習をしました。「百聞は一見に如かず」です。「市民検診を受けたい」と福祉課に来たろう者とのやり取りの場面設定でシナリオを作り、専任通訳者役は本人が、ろう者役はろう者にお願いしました。あっという間に女優誕生です。
 
 
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支部審査会の書記官によると、それぞれの案件についての意見陳述なので別件としての取り扱いとなり、1人30分の意見陳述を2回するということです。ちなみに、この30分というのは決まっていて、「公平性ということから時間延長は認められない。みなさん30分を守っていますから、限られた時間内にきちんと言いたいことを整理してください」と‛きつく’言われました。公平ということはわかりますが、たった30分で語れるものではありません。わたしたちの「ろう者や通訳についてきちんと理解し、正しく判断してほしい」という気持ちは、どこにぶつければいいのでしょう。
 
【口頭意見陳述】 県庁北新館5階
 部屋に入ると、正面に3人(委員長と2人の委員)が並んでいて、左に参与が着席していました。右には人事課職員と記録のための速記者が座っています。ミニ法廷のような雰囲気で、みんなドキドキです。なんてったって、みんな初めての経験です。「緊張するな」と言うほうが無理というもの。
 
 
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まず「支援する会」から30分間の陳述の流れを説明し、聴覚障害の特性や専任手話通訳の仕事内容、相談業務やコミュニケーションの大変さなどは2人に共通するので全体として受け取ってほしいとお願いしました。その後、本人から順に意見陳述が始まりました。
 
【陳述内容】
本人からは、障害者自立支援法の施行に伴って採用されたので派遣業務窓口が市町村となり仕事量が急増したこと、席がカウンター近くなので障害福祉課の窓口業務も担っていたこと、相談業務の研修も受けていないのに通訳者が担わざるを得なかった精神的負担など陳述しました。
 
その後、ろう者から言語獲得が大変なろう者がいること、まず信頼できる専任通訳者のところに相談をもちかけることなどが話され、次に自身も市の専任通訳者である全通研理事がパネルを使って市役所内に来るろう者の動きと、手話を使う場面についての説明をしました。急いで作成したというパネルを使っての説明はとてもわかりやすいものでした。
 
 
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最後に北原先生が主治医であり頸肩腕症候群の専門家の立場から、通訳が身体のどの部分を使うのか、また単に腕や肩の痛みだけではなく、精神的にも大変な仕事であること、これまで多くの労災や公務災害が認められていることなどを話しました。
 
【委員からの質問】
こちら側の陳述が終わった後は、委員と参与からの質問です。通訳業務と相談業務の内容の確認や通訳時間についての質問が多い中、正規職員が窓口に出るべきなのになぜ通訳者が対応するのか、通訳者はなぜ相談員の研修が受けられないのかといった根本的な質問もありました。部屋に入った時は険しかった委員のみなさんの表情が、終わったときは柔らかくなっていたのは救いでした。準備は大変でしたが、仲間の力はすごいと思いました。
【これからの活動】
署名は、7月1日以降も速達などで続々届けられています。現在いただいている署名は合計5,000筆です。全日本ろうあ連盟も動き始めてくれました。口頭意見陳述の結果がいつになるかはまだわかりません。でも、手をこまねいて結果を待つのではなく、送っていただいた署名を支部審査会に届けたり、全国に情報を提供しながら、全国の仲間の応援を背に「公務災害認定」の実現に向けてがんばりたいと思います。
 
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〔口頭意見陳述直前の打ち合わせ〕 
 

(報告者 梅本悦子/理事・滋賀支部)

 

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