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2013年8月 1日 (木)

第8回 全通研学校Ⅱ 四国ブロック


7月27日(土)・28日(日)、香川県高松市で全通研学校Ⅱが開催されました。

四国はもとより、その他の地域(長野・埼玉・京都・大阪・兵庫・岡山・島根・鹿児島)から44人の参加がありました。

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「発達支援(相談支援)」のテーマで、手話通訳活動における対人援助や相談事例について学習しました。

講義の概要と学習の様子をお伝えします。

 

■1日目

前田理事の司会により開会。

 はじめに森川理事より、

「先日行われた参議院議員選挙の政見放送への手話通訳や字幕は政党の任意であり、公的な責任で保障されたものとはなっていない。

また、各テレビ局が競うように長時間をさいて、開票結果を知らせる番組を放送していたが、手話や字幕は付いていなかった。

聞こえない人の暮らしを見据えて課題に取り組むことが大切。そのためには、集団での学びと検証が欠かせない。二日間、しっかり学習していきましょう」と挨拶。

 

講義「障害のある子の相談支援」

大正大学人間学部臨床心理学科 教授 玉井邦夫 氏

相談を必要としている人は、現実を検討する力や感情を吟味する力が低下、あるいは鋭敏になりすぎて、当たり前の反応や判断ができない状態。

自分にとって最悪のプロセスしか想像できず、感情の軸足が定まらなくなる。

相談技術の基本に「認知の地図」という考え方がある。
人間は、発達や知覚の法則性により、ある程度共通した地図の「でき方」があるが、経験を積み重ねるごとにオリジナルなものになっていく。

「認知の地図」は、自分にとって意味のある情報であり、一人ひとりすべて違う。人間はいつも自分の地図の上で困ったり悩んだりする。

地図上にないものは理解できない。隠れている「道(能力)」を顕在化し、新しい「道」を書き込む作業が必要になる。

 
「認知の地図」という捉え方や、クライアントの「困り」を取り除くのが相談ではなく、適切な「困り」に焦点をあてるという話を聞き、胸につかえていたのは「これだ!」と思いました。

違いを知り、どのような地図の上で困っているのか考えてみようと思います。

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講義「相談活動の理論と実践」

 筑波大学人間系(障害科学域)准教授 結城俊哉 氏

 相談活動は目の前にいる相手を理解することから始まる。

その人の生活や人格を尊重し、わかる言葉で伝える責任がある。
未完成な自分に自覚的であること。
相談活動に「完成」はない。理屈や理論ではなく「感動」が人を変える。

 相談活動における6つの基本技法「聴き方」「問い方」「見立て方」「待ち方」「関わり方」「別れ方」を型として習得する(「形」から「型」へ)。

 援助者が健康であることが大切。

健康の判断基準は、「曖昧さ」に耐えられるか、「待つこと」ができるか、「休憩」(遊びの時間)が取れるか、「余力」を残して関われるか、「課題の優先度や自分の限界」を見極められるか、「多様性」を受容できるか、「身体感覚」を大切にできるか。

 

 経済的・精神的・社会的な「ゆとり」がなければ、いい援助にはつながりません。

全力を出し切らず最善を尽くすこと。

相談活動も手話通訳活動も一期一会。


このひと時を真剣に理論を実践の力へ。

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学習で頭を満たしたら、お腹も満たさなくては…。

香川支部の皆さんの案内で、会場から徒歩で「御馳の介」というお店へ移動。

仲間との会話もはずみ、心も満たされた交流会になりました。

「しめ」のうどんは香川ならでは。

 

■2日目

講義「手話通訳活動と相談事例」~暮らしから学ぶ~

 全国手話通訳問題研究会理事 森川美惠子 氏

 

 手話通訳活動は人に対して行う支援。

変化する状況のなかで様々な感情があり、人や場面が同じでも、同じ通訳や同じ対応は一つとしてない。

 エンディングノートを利用し、自分の履歴を書き入れる。

目の前の聴覚障害者にもこれまでの歩みがあり、どのような人生を経てきたのか知識や経験を駆使して想像する。

基本情報を把握し、事実に基づいた想像力が大事。

 聴覚障害者の主体性や自己決定の尊重、相手に応じたコミュニケーション手段、スーパービジョンによる検証、関係機関との連携等が手話通訳者の基本姿勢である。

 

 事例検討を通して、きれいな言葉でまとめるのではなく、聴覚障害者が何をどうしたいのか、そのためには具体的に何をすべきか、明確に意識して行動すること。

一人では気づけないことも、集団による検証で軌道修正できます。

事例検討の大切さを再認識することができました。

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グループ討議

 5つのグループに分かれて、2日間の講義で感じたことや気づき、疑問点などを出し合い、お互いに意見交換をしました。

 

香川支部の皆さんには、会場の準備や受付、書籍販売、交流会の手配、その他多方面にわたり細やかな心遣いと共に、大変お世話になりました。

また、遠くから来て頂いた参加者の皆さんのご協力と、講義をして頂いた講師の先生方にも感謝いたします。


ありがとうございました。

 

(前田真紀・戎協子)

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