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2013年8月30日 (金)

全国障害者問題研究会 第47回全国大会 臨席報告

 2013年8月10日~11日、青森県弘前市において
「全国障害者問題研究会第47回全国大会-つなぎあおうわたしたちのねがい 支えあおう人間らしいくらし ひろげよう発達保障とインクルーシブな社会-」が開催されました。
地元青森県の大会準備委員会は約300人態勢で、全国から集まった2,000余名の参加者を迎えました。
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 10日の全体会は、地元青森の子どもたちと関係者200名によるオープニングでスタートです。
青森の夏といえば「ねぶた祭り」。
まず、「ヤーヤドー」の掛け声に合わせて、手作りの山車を引いた“弘前ねぷた”の子どもたちが入場です。
続いて、「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに“青森ねぶた”の装束の子どもたちが跳ねながら入場。会場内を一気に青森色に染めました。


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 開会行事に続く基調報告では、成年後見制度を利用したために選挙権を剥奪するのは違憲であるとの判決にもとづく公職選挙法の改正や、
生活保護受給にあたって移動障害のある人の自動車保有を認めないのは違法だとした判決など、
障害のある人の視点で社会制度の矛盾を訴えることによる改善への動きがとりあげられました。
しかし、その成果は社会の隅々、現場にまで十分届いているわけではありません。
障害者基本法の改正、障害者総合支援法の施行、障害者差別解消法の制定など、
インクルーシブな社会に向かって法的整備が進んでいるかのように見える一方、
インクルーシブを謳っていても教育環境は改善されないままです。
まだまだ、「黙っていては何も変わらない。訴え続けなければならない」状況です。
 


重点報告では、岩手県宮古市の東日本大震災以降の取り組みや、
福島原発事故における障害者の避難と今後について報告がありました。
東北沿岸部では津波による被害が甚大でした。
作業所で作ったものの販路がなくなり、子どもたちが遊べる公園もなくなりました。
それでも人の悲しみは人が癒します。
仲間がいることで頑張れるから、「少しずつ、ぼちぼち行こう」と言って見守ってほしいという話でした。
 福島県は地震と津波に加え原発事故による複合被害で、
最大の被害者は高齢者と障害者でした。
避難を後回しにされたり、避難所で受け入れられなかったり。
障害者用の仮説施設ができたのは1年後で、1年間は行き場がないまま、
あちこちの既存施設を巡らなければならなかったのです。
 震災にみるように、有事のときは社会の弱い部分が露呈します。
自然災害は防げないとしても、被害をできるだけ少なくする手立てを講じること、
何より人的有事を引き起こさないことが大切だと思いました。
 記念講演は、日本障害者協議会常務理事・藤井克徳氏の
「私たちがめざす社会と制度改革-ぶれない、こびない、あきらめない」です。


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藤井氏は少年期を青森県で過ごされており、当時の回想から講演は始まりました。
日本の障害者施策は進んでいるのか遅れているのか、判断には基準が必要です。
政策水準を、①障害のない市民の社会生活水準との比較、
        ②欧米など経済力が日本と同水準にある国々との比較、
        ③過去の実態・政策水準との比較、
        ④障害当事者のニーズとの比較の4つのものさしでみます。
とくに④障害当事者のニーズと比較してどうかが一番重要なものさしです。
障害者権利条約は、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という理念のもと、
他の者との平等を謳っています。
障害者向けの特別なサービスを求めているのではなく、
周囲の人たちとの平等を求めているのです。
藤井氏は、学習して行動することが運動であると言います。
講演の中で、ジョニー・レイ・ライダー Jr. の詩「ナラの木」が津軽弁で朗読されました。
私たちにも根っこがあり、根っこは自分でも知らない間に強くなっていて、
たいそう強い風にも倒されないくらいになっていくはずです。
「ぶれない、こびない、あきらめない」ことで根っこはどんどん強くなるはずです。
 当日は青森支部の仲間が通訳を担当していました。
特設ステージが設けられた武道館はとても暑く、大変だったと思います。
会場には子どもたちの姿が多く、全通研集会とはまた違った雰囲気でした。
しかし、すべての人が輝いて生きられる社会を求める気持ちは共通です。
私たちも自分の根っこを強くしていこうと思いながら会場をあとにしました。

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                                  (文・写真: 全通研理事 宮澤典子)

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