« 「世界手話通訳者協会2013年理事会」  ~ その1 | トップページ | 愛通研公開学習会(7/27) »

2013年7月25日 (木)

「世界手話通訳者協会2013年理事会」  ~ その2

15日(月)と16日(火) 2日間、朝9時から夕方6時半までブラジル国立ろう学校で理事会です。


WASLIの理事は3役の4人と各地域理事8人で、合わせて12人です。


今回出席したのはデブラ・ラッセル会長(カナダ)、ナイジェル・ハワード(カナダ、北米地域理事)、ジョゼ・エジニウソン(ブラジル、ラテンアメリカ地域理事)、梅本悦子(アジア地域理事)の4人で、副会長のホセ・ルイス・ブリエバ(コロンビア)はスカイプで会議に参加しました。

バルカン地域理事のセルマンはコソボの人ですが、国として認めていないということでビザが下りず、参加できませんでした。


国際問題はこんなところにも影響しています。

Photo (ろう学校玄関での理事の写真)
 会長報告、地域理事の報告、国際手話通訳の問題、アラブ統一手話の問題、ろう者組織や世界盲ろう者連盟との協働、2015年の世界会議の内容など、いろいろな問題を話し合いました。

今回は第2回ラテンアメリカ手話通訳者会議に合わせての理事会なので、ラテンアメリカ諸国の現状や課題も多く出ました。

日本は、ろう者(団体)と健聴者(団体)がうまくいっている、世界的にめずらしい国なのです。


もちろん地域によって関わり方はさまざまでしょうが、「日本はなぜそんなに2つの団体がうまくいっているのか」と聞かれました。

普段はメールでのやり取りなのですが、やはり顔を合わせての会議だと話しが発展して、いろんな面から考えることができます。

メールはとても便利だけれど、それだけでは十分ではないということがよくわかります。
 

会議の途中で、このろう学校で理事をしているソランジさんがあいさつに来られました。

国立学校なので役職は政府が任命するらしいのですが、彼女はずっとろう学校で教師をしていた手話ができる人で、めずらしいのだそうです。

とっても優しい人でした。夕方から学校内で働く手話通訳者の人たちと懇談をしました。

全部で26人いるそうですが、14,5人の参加でした。

Photo_2 (写真ソランジさんと一緒のと、懇談会を組み合わせ)
 デブは英語・スペイン語・カナダ手話・国際手話、ナイジェルはろう者なのでカナダ手話と国際手話なのですが、以前日本に住んでいたことがあるので少し日本手話がわかります。


ジョゼはポルトガル語・スペイン語・英語・国際手話、私はつたない英語と日本手話とほんの少しの国際手話で、全員がさまざまな方法でコミュニケーションを取ります。


私は簡単な内容のときは英語を話しながら日本手話でナイジェルに伝えます。


すべてに通訳をつけていると大変だし時間が何倍もかかってもったいない。


でも、混乱するとデブが国際手話に通訳してくれます。


Photo_3 (写真・会議風景)
 理解できないときはいつでもストップをかけてもいいというルールです。


国際会議ではコミュニケーションの基本を学ばせてもらっています。


長崎さんには主に英語を聞きながら記録を取ってもらうのですが、実は大学でスペイン語を専攻していたので、スペイン語⇔日本手話の通訳もしてもらいました。


おかげで、私とナイジェルはとても助かったのでした。


おみやげにフリーズドライの味噌汁とうちわを持って行きました。


味噌汁は大歓迎され、うちわも好評でしたが、実は近所の銀行でもらったものなんです。


でも、かわいいでしょ?

Photo_4 (おちゃめな理事の写真)
 ろう学校にはホテルからバスで通いました。

安いし、すぐそばで止まるので便利なのです。


ところが、ブラジルではバス停はあるのですが、そこで止まるとは限らない。


現地の人も道路まで出て必至に手を振ってバスを止めていました。

その代り、少し離れた所でも手を振るとドアを開けてくれます。

入口には車掌さんが座っていて、バス代を払います。乗ったのはいいけれど、降りる時が困りました。

どうやって合図するのか、わからないのです。

みんなの降り方を観察していましたがやっぱりわからないので、車掌さんにろう学校の住所を伝え、合図してもらいました。

次の日、「やった!降車のブザーがある」。

でも、行き先表示もなければアナウンスもない。


やっぱりどこで降りるのかわからないのです。
景色を見ながら何とか下車。珍道中です。
Photo_5 (バス停の写真)
 
  ブラジルはポルトガルが占領していたので、街全体がポルトガル風です。

テラスや門の飾りが素敵でしたが、道が石畳みでデコボコがひどい。


スーツケースなんかゴロゴロできるものではありません。


車道も舗装しているのにデコボコで、そこをバスがかなりのスピードで走るので、私たちは車内で飛び跳ねていました。


Photo_6 (街並み)
 17日(水) 5日間お世話になったホテルをチェックアウトし、第2回ラテンアメリカ手話通訳者会議会場の大学に行きました。

お昼には各国の代表者とあいさつし交流しました。

突然「エツコ、スピーチして」とジョゼが言います。

「スピーチ?」日本語でもとっさには出てこないのに、英語で!

でも、ここで引き下がったら女がすたる?!

超短いスピーチですが、英語と国際手話まがいでがんばりました!

海外は思いつきが多いです。


Photo    (ポスター)
 夕方5時から開会式です。

「ブラジル時間」なので遅れるだろうなあと覚悟していたのですが、始まったのは6時過ぎ。

やっぱり!ラテンの国らしい楽しく明るい開会式でした。

スペイン手話(と思う)と国際手話通訳者が両側に立ち、舞台のろう者に対する通訳者と、盲ろう者の触手話通訳者が前列にいました。

日本と同じですね。
ただ、英語通訳がないのでスピーチは国際手話通訳と想像力に頼るしかありません。

Photo_8 (開会式写真)
 

WASLI理事たちは大歓迎を受け、開会式終了後いろんな人から写真を頼まれ、いっぱい撮りました。
Photo_10

写真好きは日本人だけではないですよ。

Photo_9
 開会式で触手話通訳をしていた男性の車で空港まで送ってもらいました。

18日午前2時出発です。

ホテルをチェックアウトしてからすでに1日が経っています。

これから29時間!眠い~~~。

空港の売店もしまっているし、することもなく椅子でコックリコックリ。

またもや真夜中のドバイを経て、関空に到着。

さすがに疲労です!!
 

通訳者組織を立ち上げたばかりの、若いエネルギーあふれるラテンアメリカ各国の手話通訳者との交流はとても楽しく、元気をもらいました。

日本の経験を少しですが伝えることもできました。



でも、ただ一つ悲しかったのは「サンバ」も「ボサノバ」も見られなかったこと。

今度行く時は、ぜったいサンバを踊り狂うぞ!
                  (国際部長・WASLIアジア理事 梅本悦子) 

|

« 「世界手話通訳者協会2013年理事会」  ~ その1 | トップページ | 愛通研公開学習会(7/27) »

全通研理事・事務局員の出張」カテゴリの記事