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2012年9月 4日 (火)

8/31 情報・コミュニケーションシンポジウム(その2)

第2部は予定より30分遅れて15時10分から始まりました。第2部は「情報・コミュニケーション法の法整備に関するシンポジウム」でした。司会は、小中全日本ろうあ連盟副理事長が務めました。


最初に、「政策委員会と差別禁止部会の動き(報告)」と題して、藤井克徳氏(日本障害者協議会常務理事)から基調報告がありました。内容を箇条書きにしてまとめました。
・運動は簡単には結論が出ない。
・116万人の署名を集めるため頑張った。
・エネルギー不滅の法則がある。いったん発した自然エネルギーは形が変わるが、必ずどこかに結果として表れる。
・論拠、根拠は十分ある。障害者権利条約にも第2条、21条にしっかり方向性が書かれている。
・障害者基本法では理念、第1条、第2条、第3条3項に書かれている。ここも大きな根拠である。第22条にも書かれている。
・情報・コミュニケーション法も国際的な動向を踏まえての骨格提言である。
・世論をいかに作るかが鍵。運動の力である。運動とはまとまることである。2つの視点がある。1つは、聴覚障害者が先ずまとまる。当事者である聴覚障害者がまとまり、 次に障害者全体のまとまりが必要である。2つめは、ぶれないこと。確信を持つこと。もっと深めることをする。ぶれないことで確信となる。
・これまでの運動は、天気予報で例えれば、晴のち曇りである。ぱらぱらと雨が降ってきた。ただし、晴れ間が残っている。雲がとれるかもっと雲が広がるのかはこれからの私たちの運動にかかってくる。
・推進会議は我が意を得たり。政権交代があって推進会議があった。制度改革をマニフェストに書かせたことが勝利。推進会議は38回の会議が終わった。推進会議の進め方、構成が良かった。
・池上翔太郎の小説に「食卓の情景」という本がある。「何を食べるかより、誰と食べるか大事」とある。この国を誰が作るのか。
・推進会議では、当事者が過半数、支援の手厚さ(通訳者、色の板)、会議の実質化(当事者が中心)、情報公開があった。画期的なことであった。
・第一次意見 3年間で3つの法律を作りますと宣言した。大きな法律は3年連続で改正していくことはこれまでになかったこと。
・1つめは障害者基本法、総合福祉法、差別禁止法、これを閣議で決めた。
・障害者基本法の抜本改正は、8勝7敗で勝ち越した。第2条の定義が象徴的である。しっかり規定している。しかし、全障害者が入っていない。障害と社会的障壁により・・・と書いている。障害と社会的障壁とが入った。国連どおりではないが大きな前進である。
・第3条、第4条は基本原則である。3条は言語に手話が位置づけられた。情報の取得、または選択の拡大が図られること。確保と拡大をどう見ていくか。
・第32章の障害者政策委員会の設置、今までの中央障害者推進政策委員会と推進会議が合体した。
・一段目は基本法、二段目は総合支援法になってしまった。障害者総合支援法は、自立支援法のまま。介護保険法が背後にある。だから、晴のち曇りなのである。
・政策委員会は2つの仕事がある。1つ目に差別禁止法、9月末までに意見書としてまとめる。骨格提言での教訓がある。いったん出てしまうと薄まってしまう。
 2つめは、障害者基本計画づくり、10年間単位で終わる。2013年から長期計画を作ることになっている。年内には計画の概要をまとめる予定である。どのくらい盛り込むか。この計画で、この先5年、10年の予算も決まる。新しい障害者計画を注目していくことが必要。
・原案をまとめて意見を出す。政策委員会は、10月22日にから始まる小委員会に分か れてしまう。たった3回で終わる。石野さん、新谷さん、門川さん、福島さんが出ている。司法、就労分野は9月から会議が始まる。
・もう一度、晴を取り戻すためにもまとまることだ。ぶれないことも大事。

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「情報・コミュニケーション法をどう考えるか」について6団体からそれぞれ発表がありました。それぞれの概要を箇条書きにまとめました。

① 財団法人全日本ろうあ連盟 中橋道紀氏
・障害者総合支援法をどう見るのか。自立支援法と障害者総合支援法の違いは何か?コミュニケーションが変わり、意思疎通となった。手話では、思いを通じるとなる。  意思疎通に変わって良かったのか。意思疎通は一方的であり、限定され狭い。お互い の気持ちを共鳴し合い人間関係を構築することがコミュニケーションである。意思、感情が含まれる。
・政府の訳は意思疎通、長瀬・川島先生の訳はコミュニケーションである。生活支援まで含めた考え方。
・ろう者がコミュニケーションをとることはとても大事。
・手話通訳制度を考える。教育、司法、政治参加、労働の分野では、遅れている。職場での情報保障がきちんとされていない。朝礼に通訳が付かない。あとでメモをもらうだけ。会議でも通訳が付かない。知る権利が奪われている。
・職業安定所の手話協力員の制度はある。助成金である。限られた予算でやっている。
・手話言語法の制定のために活動をしている。障害者権利条約の中で手話は言語であると言われた。あらゆる場面で手話を自由に使い、豊かな文化の実現につなげたい。手話通訳の制度化も大事である。ろうあ者の権利を守ることと関係している。身分保障もしっかりしていきたい。
・食事、移動が人として生きることである。自己負担を課せることは差別である。暮らしていくためにも必要な情報、コミュニケーションは無料であるべき。

② 社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会副理事長 川井節夫氏
・将来の行く末が見える頃、急に聞こえなくなった。 表情を見てわかる。何で怒っているのかわからないときはお手上げ。聴覚障害はこれなんだと初めて気付く。言葉に意思感情がのっかって相手に伝わっていく。
・言葉が大切だと言うことが痛切にわかった。パソコン要約筆記が必要である。
・放送関係は当然字幕をつけていく。全難聴の総会の時、被災3県が参加してくれた。生活情報が得られない。字幕がローカルテレビに付いていないと言っていた。
・映像と字幕を同時に送る装置がない。デジタルに代わったときに検討に入れてくれな かった。ローカルテレビに字幕を作っても送る装置がない。簡単に気がつくことも当 事者を入れなかったことで気がついてくれない。
・総務省に行って、2017年にはキー局には100%字幕が付くと言ってくれた。でも、 ローカルテレビは入らず。テレビ神奈川では手話付いている。でも、字幕は付いていない。
・横浜市の中失・難聴者の会のHPに要望書がアップされている。参考にされたし。
・政見放送では手話は付いている。字幕は衆議院比例区、参議院の小選挙区、知事選の3つのみ付く。
・ローカルテレビに字幕をつけて欲しいと要望して欲しい。
・さらに文字通訳が必要。生命線である。電話で不自由すると言うことはわかると思う。
欧米では、中間で文字通訳が付いている。電話も文字通訳をつけて使えるようにと言っているがまだダメである。
・見てもわからない障害である。

③ 社会福祉法人全国盲ろう者協会 庵悟氏
・私は弱視であり、難聴である。5円玉の穴を見るくらい。耳は補聴器をつけている。FM補聴器をつけて音声通訳を介して情報を得ている。
・盲ろう者は、独自の障害である。法的にも位置づけられていない。2万3千人いると 推定されているが、会で把握しているのは800人くらい。
・マスメディアの情報を自力では得られない。コミュニケーションは生命線である。一人で外出することが困難。
・3つの触手話、接近手話、要約筆記、指点字などがある。
 移動にも通訳介助員が必要。公的な場所での情報保障。役所、会議での情報保障を求める。その他、買い物、お喋りなどにも通訳介助員が必要。
・施策が遅れている。20年前に社会福祉法人に認定された。通訳介助者を養成したい。 派遣をしてきた。
・2000年からは国の施行事業として都道府県で少しずつ派遣が実施されるようになっ た。2009年度から派遣事業を始める。この課題は、枠が決まっている。言い換えれば予算が決まってしまうことになる。一人で使える時間が少ない。年間50時間のところ と、850時間のところがあり格差がある。
・養成する予算が少ない。通勤、通学の場面で派遣事業が使えない。質の高い介護者が 少ない。養成が必要。
・3つの支援。1つは通訳という側面。視覚障害者としてのガイドヘルパー、同行援助のような移動支援。全身性の障害者への介護的な側面の支援。
・これらを総合的に支援する体系が必要。パンフ、署名運動を通じて理解してもらえるようになったと聞いている。

④ 全国視覚障害者情報提供施設協会「情報アクセシリビリティ検討プロジェクト委員会委員長 野々村好三氏
・困っていることが5つある。
・医療機関で情報保障がされているのか。入院の案内、治療の方針を紙で渡される。健康に関わる情報保障がなされていない。
・銀行ではローンを組むとき、自分で文字を書くよう求められる。代筆の権利が求められる必要。
・電化製品の点字での説明がない。道路標識は弱視者には見にくい。目の高さに表示してほしい。色のコントラストがはっきりしていない。色を変えてほしい。
・情報機器を使うときに情報弱者にとっては、使いにくい現状がある。広告等が邪魔になり見づらい。
・緊急時の情報保障。ハザードマップの情報が得にくい。音声で説明されない。
・テレビが地デジになってしまいラジオをテレビで聞いていた人が聞けなくなった。テレビでラジオが聞けるものが開発されている。
・情報・コミュニケーション法は基本理念の中に、権利を有すると書かれている。社会の中で重要性が認識されることが大事である。
・当事者が参加する仕組みができることが大事。障害種別を超えて弱者が繋がっていく。排除されない社会を目指して皆さんと一緒に取り組みたい。

⑤ 全国失語症友の会連合会理事長 八島三男氏 全国失語症患者家族会 園田尚美氏
・失語症は、言語化と言語理解に障害がある。言いたいことはあるが言葉として出ない。話の内容を覚えていることもできない。
・名前や住所を書くのが難しい。長い文章は理解しにくい。仮名文字は時に理解しにくい。説明書等も長い文では理解でいない。
・話したり、聞いたり、読んだり、書いたりすることが困難。
・孤立しがち。ストレスが溜まる。
・麻痺がある人が多い。
・失語症者は30万人と言われているが、会としては推定52万人いると考える。個別に対応する必要がある。
・言語聴覚士の常駐が必要。
・コミュニケーション対応マニュアルを配置してほしい。
・研修事業の充実。

⑥ 全国知的障害者施設家族会連合会会長 由岐透氏
・障害がある無しに関係なく、読む、書く、話す、見る、聞くというコミュニケーションが欠かせない。
・コミュニケーションは双方向である。双方にプラスになるようにする。
・費用は全額国が負担する。現物給付とする。
・知的障害は重複障害者が多い。言語でコミュニケーションがとれない。親や兄弟、親しい人が代弁者となる。
・自分本人が言ったり書いたりできないことで、置いてきぼりになる。
・会話ができない。お金の計算ができない。重度と軽度見分けにくい。軽度と思われる障害者でも支援を多く必要とする場合がある。
・コミュニケーション手段の問題ではなく、どう理解し、どうしたいのかの意思表示が困難である。どう引き出すことができるのかを研究していくことが必要である。絵や写真で理解する方法が良い。言葉や文字でのコミュニケーションが難しい。国や地方公共団体が制度として、カード化して欲しいと訴えている。
・情報・コミュニケーション法を本人が理解していたら、運動に参加したいと思うだろう。


最後に、近藤副会長より、まとめが発表されました。
・コミュニケーションは避けて通れないもの。人間の権利である。
・双方向性である。人と人の関係である。人権に関わる基本的な問題である。
・情報・コミュニケーション保障の観点からは3つのモデルに分けて考えることができるのではないか。(北星学園大学の木下准教授が提唱している、手話通訳の供給モデルを参考)
1つめは、現在行われているコミュニケーション支援事業の枠組みとして、 福祉的な支援の視点で考える。
ここでは、情報リテラシーなど支援が必要な領域を含んでいる。例えば、難聴者であるが難聴者になるための支援。意思形成支援などの福祉的な支援が 深められなければならない。
2つめは、差別禁止モデルというもの。社会福祉分野以外分野でのコミュニケ ーション保障は脆弱である。現状は福祉でカバーしている。本来的に読む、書く、聞く、話すことは、福祉が全面的に見るものではない。
3つめは、通訳の領域では、個人の営業活動、宗教活動は馴染まないので派遣されていない。基本的人権の視点から見れば保障されるべきものである。
保障の方法については検討が必要である。
3つの観点を視座に持った、情報・コミュニケーション保障のためのシステムをどのように作っていくが今後の課題。
・そのために新しい法律を作っていく。当面は、障害者総合支援法、障害者基本法を武器にして法律を作り替えていく。中身を当面良くしていく。コーディネート業務を確立することで、矛盾点がはっきりしてくる。必要なポジションに必要な人を配置していく。継続して取り組める専門職員の配置をしていく。
・暮らしのニーズのデータがない。個別の体験は知っている。社会的に広めていくためには客観的なデータが必要である。科学的データをそろえていく。
・障害者基本法などさまざまな制度がある。字幕、放送通信、まちづくりなど関連法規についてできるところから要望を実現していく。

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そして、決意を込めて閉会の挨拶を田中日本手話通訳士協会事務局長が行いました。
・今日の学びを活かして更なる運動を進めます。コミュニケーション保障にとどまらず、全ての国民の福利に資するものであることを確認したい。成立するまで運動を続けていこう。


「このシンポジウムの参加者は、321人です。」と主催者から発表がありました。後ろを振り向くと確かに会場はたくさんの人たちで埋め尽くされていました。
その多くの参加者で「頑張ろう」三唱を元気よく行って解散となりました。
これから、障害者総合支援法は施行後3年を目処に見直すことになっています。この間の私たち団体がこれまで以上にまとまり、そして、世論を動かしていく運動が必要であると強く感じた集会でした。

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(報告/渡辺正夫:全通研理事)

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