「高松市の手話通訳派遣拒否に係る裁判」支援決起集会(東京会場)
2月28日(火)、社会文化会館で行われた
「高松市の手話通訳派遣拒否に係る裁判」支援決起集会 東京会場に参加をしました。
会場前には、全日本ろうあ連盟の舘脇さんと全通研の浅井さんと矢口さんがお出迎え。
受付と資料の配布をしていました。
参加者は、80名。会場は、人でいっぱいです。
開始10分前に、司会の日本手話通訳士協会の小椋さんから、
「高松と東京会場を結んで、テレビ視聴を行います。」との説明がありました。
高松会場の様子は、このスクリーンに映し出されました。
全日本ろうあ連盟の石野理事長から「私は、怒りでいっぱいだ。
連盟は、34年前から、『いつでもどこでも手話通訳』をスローガンに掲げて運動をしてきた。
障害者基本法改正で「手話は言語」と明記されたにも係らず、
高松市で手話通訳派遣が却下された。
池川さんの勇気ある行動を連盟としても支援をしていきたい。」
とあいさつがありました。
その後東京会場に参加をしている弁護団の弁護士の紹介と決意表明がありました。
「この裁判は、池川さんだけの問題ではない。
聴覚障害者のコミュニケーションを受ける権利は、人権であり、
権利であること訴えたい。」との力強い話がありました。
手話を交えながら話をされる方もおり、会場は、拍手の花が咲きました。
石口弁護士より、「池川さんと多くの人たちが一緒に訴状を提出した。
高松市は、
①遣場所が、市の要綱によれば、市外派遣は『区域外』であり、
かつ、通訳内容が、市長が特に必要であると認める程度の客観的な重要性に乏しい。
②派遣対象が、市の運用基準が定める『義務教育とそれに準ずる高校等』の
『入学式・卒業式、PTA総会、教育相談、進路相談等』に当たらない。として却下したが、
憲法21条 聴覚障害者のコミュニケーション支援請求の権利、
26条の親が子供を教育する権利や障害者基本法、
教育基本法等に違反する。憲法13条にあるように、
個人の尊重、尊厳はどこまでの守られるべきである。
皆さんと共に間違った制度を変えていきたい。一緒に頑張りましょう。」との報告がありました。
「母親として娘の学校のことを知りたいと手話通訳派遣申請を行ったが却下された。
なぜ、私達聴覚障害者は、自分の意志でなく市長の判断で情報の必要性を判断されるのだろうか。
今まで、聴覚障害者は、派遣を却下されても泣き寝入りをしてきたが、
こんなことでは、いつまで経っても『聞く権利』は守られない。
このままではいけないと決意をして提訴を行った。」とのコメントがありました。
田門弁護士からは、「池川さんは、自分だけの問題ではないと提訴を決意した。
手話通訳派遣制度の現状と課題を明らかにし、改善をするために、
これからも引き続き協力をお願いしたい」と裁判の意義と経過について説明がありました。
手話通訳派遣を考える会の太田氏より、
「高松市の却下は、今回が初めてではない。
自立支援法が施行されてから、情報センターと契約をしていない高松市だけが、
県派遣を利用できなくなってしまった。
今までも要綱の改正要望や不服申し立てを行ったが、
改善の余地がなかった。そのような時に、池川さんの通訳却下があり、
何とか高松市を変えたいと提訴に踏み切った。
我々も池川さんを支えるが、全国の支援が無いと継続的な取り組みは難しい。
この裁判は、一人のお母さんの尊厳すら守られていない制度に対する裁判である。
今後ともぜひ協力をして欲しい」との話がありました。
各団体からの決意表明が述べられました。
全通研の近藤さんからは、
「今まで、ろう連と共に車の両輪として頑張ってきたが、
今の手話通訳派遣制度は、恩恵の制度でしかない。
今回の裁判を通じて、制度を変えていくことが重要だ。
不十分ながらも頑張っている手話通訳者の8割が非正規職員である。
これからも制度改善に向け、香川の皆さんと連帯しながら頑張りたい。」と述べられました。
最後に、全通研の石川会長が、
「この裁判は、45年前の朝日訴訟を思い起させた。
朝日訴訟は、療養所で療養しながら、生活保護を受給していた朝日さんが、
『国の生活保護基準は、憲法25条の人として最低限の生活を保障していない』と訴え、『人間裁判』と呼ばれた。
学生であった私は、権利の大切さと権利を守るための闘いの大切さを学んだ。
人と人とのコミュニケーションが、一方にだけ負担を強いるようではいけない。
ろうのお母さんが、他のお母さんと同じように情報を得て、
娘の成長に関わりたいという当然の要求が、裁判を起こさなければ実現できないことがおかしい。
私は、この裁判を『第二の人間裁判』と受け止めている。
ろう者が、一人の人間として当たり前に生きられるよう、この集会をきっかけに更に支援の輪が広がることを祈念したい。」とあいさつをされました。
この集会に参加をし、手話に関わる者として、手話通訳者として、
どのようなスタンスで取り組まなければいけないのかを考えさせられました。
ろう者が、ろう者であることにより諦めたり、不利益を受けるような世の中は、やっぱりおかしい。自分にできること・・・。
まずは、地域の人、関係する人たちに、この問題を話さなければと思いながら、帰りました。
(文と写真 : 全通研理事 佐々木良子)
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