障がい者制度改革推進会議の傍聴
暑さ本番の8月8日、「暑さになんか負けへんで~!」と勢い込んで買ったお弁当を新幹線で食べながら東京へと向かいました。
が、霞が関の駅を降りるとクラクラする様な暑さに「うっ! 溶けそう」。わずか400m程の道のりを歩くだけでも汗だくになりながら、大きな合同庁舎の建物とご対面。
「こんなに大きな建物なら、涼しいんじゃないの」と思った予想は見事に外れ、会場では昭和の名残のような大型扇風機がグルグルと廻っていました。
“傍聴席”というと委員のみなさんを遠目に見るというイメージでしたが、すぐ近くで見れるライブ感にびっくり。早めに到着したおかげで一番前の席に陣取れてホッとする間もなく、配布されたたくさんの資料に「ぎょっ! これを全部読んだ人たちの話についていける?」と新たな不安がよぎりました。でも大丈夫! 会議は手話通訳やパソコン要約筆記で情報保障があるので、発言内容をリアルタイムで手話や字幕で確認することができます。耳から情報を得られる私にも、聞きもらしや意味のつかめない言葉を文字で確認できるので、とても心強い味方となってくれました。資料とスクリーンと自分のノートと委員の方たちの顔を交互に見ながら4時間の会議は進んで行きます。1時間ごとに10分程度の休憩が挟まれるので、なんとか息継ぎをしながら足のつかないところで泳ぎ続けるような感覚でした。
肝心の会議の内容は…「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」についての報告と意見交換がメインでした。障害者の範囲、福祉サービスの支給決定、相談支援、利用者負担など、どれをとっても重要なテーマが次々とまな板の上に載せられ、料理されていくようにすごいスピードで討議が進んでいきます。私自身、日ごろの業務と密接に関する内容でもあり、国や当事者、業務に従事する人の視点の違いを感じ、厳しい現実との狭間で胸が苦しくなるような迫力に圧倒される濃い内容の会議でした。
一つの例では「利用者負担」について。自立支援法施行後は当たり前のように使われている言葉ですが、いったい福祉サービスの利用者とは誰なのか、障害があることでサービスの利用が必要な人が「自己負担で購入」すべきものなのか、サービスの質や当事者の暮らしの責任は誰が負うのか。会議の中で、当事者からも行政の立場からも色んな意見が出されました。「国の財政が厳しい中で~」「国民の理解が得られるような…」「お金を払ってでも今の状況が改善されるなら~」等、出てくる意見はどれも一理あるようで、でも素直に納得はできなくて。地域や職場での現実、全通研が作ってきた運動や理念、国や社会の動きなどが複雑に絡まって今の大きな流れの中にいる自分をもう一度しっかり見つめなおさないといけないなぁと感じました。
(事務局員 米野規子)
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